韓国大統領府の会見 批判避け前向きな内容
安倍首相は2日、韓国で朴槿恵大統領と初めての首脳会談を行い、いわゆる従軍慰安婦問題についてできるだけ早い解決を目指して交渉を加速させていくことで一致した。冷え込んでいた日韓関係は改善に向かうのか。ソウルから藤田記者が伝える。
日本政府の関係者は「会談では両首脳が特別感情的になる場面もなく、忌憚(きたん)のない意見交換を踏み込んで行った」と述べた。その上で、「長い時間をかけて、1つ1つの事柄を話し、全体的によい雰囲気で有意義な会談だった」と評価している。
「対話のドアは常にオープンだ」と会談を呼びかけていた安倍首相からすれば、朴大統領がドアから部屋に入ってきて席に着いたということで、関係改善に向けてはずみをつけることができたという受け止めだ。
韓国の大統領府は、「停滞していた歴史認識などの懸案の解決と両国関係の発展を真摯(しんし)に模索したことに意義があった」と評価した。朴大統領が最も重視する慰安婦問題で安倍首相からこれまで以上に前向きな言葉を引き出すことができなかったにもかかわらず、一定の評価をする背景には、韓国の国内事情がある。
韓国では、中国が日本との関係改善に動いたことから、外交的に孤立するのではという危機感が広がり、国民からも首脳会談を望む声が高まった。また、日米韓の連携を重く見るアメリカからも関係改善をうながされていた。
こうした空気を受けて朴大統領は、「慰安婦問題で成果がない限り首脳会談はしない」という従来の姿勢を転換して、会談に踏み切った。
会談内容を説明する大統領府の会見では、日本への批判や刺激的な言葉づかいは避け、前向きな内容が目立った。日本側への配慮と同時に、国内向けに成果をアピールしたいという思惑が透けて見える。
当面は経済分野など協力できるところから連携を強化しながら慰安婦問題の解決を模索する、というのが韓国政府のスタンスになりそうだ。