ゼロ金利解除か、米「利上げ」の見方強まる
アメリカが、金融政策で金利を上げるかどうか、世界が注目している。
金利の上げ下げが経済にどう影響するかというと、まず、金利を下げた場合、ビジネスをしたい人は銀行からお金を借りやすくなる。借りたお金をもとに事業を始めることができ、景気は良くなる。
一方、金利を上げたら、銀行からはお金を借りづらくなるので、事業を始めることができず、景気は冷え込む可能性がある。
景気が悪かったため、金利をほぼゼロにしていたアメリカが、今回、どんな判断をするのか。今まさに、その話し合いが行われている。
アメリカは2008年のリーマンショックの後、事実上のゼロ金利政策を続けてきたが、9年半ぶりに「利上げ」に踏み切る見方が強まっている。
経済の低迷から、現在、先進国の政策金利は異例の「ゼロ金利」が主流。日本やヨーロッパでは、大規模な金融緩和策が続いているが、アメリカは、将来的な景気の過熱を防ぐため、「正常化」に向けてかじを切ることになりそうだ。
背景にあるのは、アメリカの景気の回復。リーマンショックの後、一時10%あった失業率は今5%にまで下がり、賃金も上昇している。
例えば、最低賃金は、日本は全国平均で時給798円だが、アメリカでは15ドル(=日本円で約1800円)に上げる動きが広がっている。西海岸のシアトル市で取材したスーパーマーケットの従業員は、年収が100万円近く増えると話していた。
スーパーの従業員「最低賃金を15ドルもらえて、健康を意識した生活が送れ、仕事にプライドを持てるようになった」
今後、ロサンゼルスやサンフランシスコなどでも、順次15ドルに引き上げられる見通し。
すでに市場の関心は、今後の利上げのペース、来年何回、追加の利上げが行われるのかという点にある。世界経済のけん引役として影響も大きいだけに、アメリカの判断に世界が注目している。