シリア内戦 和平協議が難航…なぜ?
シリア内戦の和平協議が先月29日からスイスで始まったが、難航している。当事者であるシリアの反体制派がまだ協議参加への態度を決めかねているからだ。スイス・ジュネーブから天野英明記者がリポート。
シリアのアサド政権側と反体制派の両者が現地入りして、それぞれに国連との会談を始めたものの、実質的な協議に至っておらず、その気配すら見えていない。協議が進まない理由は、第1に、反体制派の主要組織が協議参加の条件として政権側による空爆の停止などを求めているからだ。
反体制派主要メンバーのリヤド・ナーサン・アガ氏「アサド政権が空爆を続ければ、我々は協議を滞らせる」
協議に参加するべきかどうか、先月31日も夜遅くまで議論が続き、主要メンバーらは深夜になってようやく食事をとっていた。
リヤド・ナーサン・アガ氏「事態が楽観的かどうかは言えない。(参加の)望みはあるから来ている」
一方のアサド政権側も反体制派側の代表団にテロ組織が含まれているなどと注文をつけ、「テロリストとは交渉しない」と強気の姿勢を崩していない。
この先も協議の進展は難しそうだ。国連は1日もアサド政権側、反体制派側、それぞれと会談する予定だが、こうした間にもシリアでは多くの市民が犠牲になっている。5年近くに及んだ戦闘で、シリアの死者は25万人以上。先月31日も首都・ダマスカス近郊で70人以上が死亡するテロ事件が起きた。まさに国連の主導力が問われているが、たまりにたまった双方の不信感は根強く、内戦終結への道のりはまだまだ遠そうだ。