台湾では２０日、独立志向の強い民進党が８年ぶりに政権に復帰した。蔡英文新総統は、就任演説で中国と積極的に交流していく方針を示した。

　蔡英文新総統「私たちは力を入れて中台関係の平和安定を維持し、台湾内の和解を促進し、民主的な制度を強化する。目標達成のためには対話と交渉が最も重要だ」

　蔡英文新総統は、注目された中国との関係について、対話の重要性を強調し、積極的に交流していく姿勢をアピールした。また、中国が重要視している「ひとつの中国」という認識には言及しなかったが、その認識について話し合った１９９２年の中国との会談については、「その歴史的な事実を尊重する」と話した。

　蔡英文新総統はこれまで、台湾独立の志向の強い民進党の党首という立場もあり、「ひとつの中国」に関わる発言は一切していなかった。２０日の就任演説では、中国側に最大限配慮した形。

　一方、中国側は談話を発表し、蔡英文新総統が演説で「ひとつの中国」に触れなかったことを念頭に「１９９２年の共通認識の核心的な意味合いを明確に認めなかった」と指摘。また「中台関係の平和や発展を確保する具体的な方法も提示していない」として、今後の中台関係について「完全な答えではない」と批判している。