北朝鮮国籍の男釈放へ“切り札”国外退去か
北朝鮮の金正男氏が殺害された事件で、逮捕されていた北朝鮮国籍の容疑者が3日に釈放され、国外退去処分となる見通しとなった。マレーシアの北朝鮮大使館前から松永新己記者が中継で伝える。
北朝鮮国籍の容疑者が、北朝鮮へ戻る見通しとなったことで捜査がさらに行き詰まる可能性が高まったといえる。
事件をめぐっては1日、起訴された実行犯の女2人のほかに、警察が北朝鮮国籍のリ・ジョンチョル容疑者を逮捕していた。リ容疑者は3日、勾留期限を迎えるが、地元メディアは法務長官が「証拠が不十分で起訴されない」と明かしたと報じた。滞在に有効な在留資格がないため国外退去処分にするとしている。逮捕者の中では唯一の北朝鮮国籍であるリ容疑者は、マレーシア側にとって事件の全容解明のためのいわば「切り札」ともいえる存在だった。
リ容疑者を釈放し、捜査の手が届かない北朝鮮に戻してしまうことで、マレーシア側としては北朝鮮側に捜査のメスを入れる機会を失うことにもなりかねず、厳しい局面を迎えることになる。
■Q:北朝鮮とマレーシアの関係は今後、どうなっていくのか?
2日、両国の関係をめぐって、大きな動きがあった。マレーシアの副首相は、これまで北朝鮮国民に対して認めてきたビザなし渡航措置を6日から中止すると述べた。国の安全のための変更だとしているが、マレーシア側の対応を繰り返し非難してきた北朝鮮への反発とみられる。こうした措置により、今後、両国の関係が一層、悪化する可能性もある。