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韓国政府“処理水放出”に「韓国への影響はほぼない」独自の検証結果を発表 “静観”貫いた中、7日に発表のワケは…

2023年7月7日 20:47
韓国政府“処理水放出”に「韓国への影響はほぼない」独自の検証結果を発表 “静観”貫いた中、7日に発表のワケは…

福島第一原発の処理水の海洋放出について、韓国政府は7日、安全性について「韓国への影響はほぼない」などとした独自の検証結果を発表しました。放出をめぐり中国などが反発する中、韓国はこれまで“静観”を貫いてきていましたが、いったい、ナゼなのでしょうか?

■視察団派遣から1か月超 ようやく発表“独自見解”

「放出が計画の通り行われれば国際基準などに合致する」「韓国の海域に及ぼす影響は、ほぼないことが確認された」

福島第一原発の処理水についてこのように強調するのは、韓国原子力安全委員会の劉国熙委員長ら。韓国政府として、放出について「韓国への影響はほぼない」と評価しました。

意外に感じるかもしれませんが、放出の安全性について韓国政府が見解を示すのはこれが初めてです。尹錫悦大統領もこの問題をめぐって発言するのは、確認できるだけで5月が最後で、その後は、言及を控えていることがうかがえます。

放出について中国などの周辺国が反発を強める中、ナゼ韓国はあえて“静観”ともいえる姿勢を保ったのでしょうか。そこには、国内政治を意識した韓国政府の戦略が関係しています。

■韓国政府“静観”のワケ 徹底した「批判封じ」

韓国では、来年4月に総選挙が予定されています。韓国の国会では現在、野党が多数派を占めていて、尹政権としては、不安定な政権運営を強いられています。

尹政権としては選挙で与党を勝利に導き、その後、残り3年の任期を思い通りの政権運営をしたい考えをもっています。選挙はまだまだ先ですが、政権としては、今のうちから批判や失点を指摘され、アンチキャンペーンを展開されないよう慎重になっているとみられます。

その慎重な姿勢は、検証結果の発表でも様々な側面から透けて見えてきます。そもそも、今回の問題は日本と関係するものです。日韓関係は「政治問題でも最大の課題だ」と指摘する専門家もいるほどで、ちょっとしたことで“揚げ足”を取られかねないだけにおのずと慎重に。

日本との関係を重視する尹政権としては、今回の問題をきっかけに日韓関係を停滞させたくはないものの、日本に擦り寄ったと受け取られ、批判につながるのを避けているものとみられます。そのため、時期を見極め、検証結果を発表するまでは“静観”を貫いていました。

ではナゼ、7日を検証結果を発表する日に選んだのでしょうか?

今回、韓国政府の発表は、IAEA(=国際原子力機関)が放出計画の安全性などを調査した報告書を日本政府に受け渡した3日後。まず、IAEAの報告書が出される前だと、「科学的な検証はしたのか」と批判の声が上がりかねません。しかし、報告書が出された直後だと、「日本に擦り寄った」との指摘を受ける可能性も。

ある日韓関係筋は、「IAEAの報告書が出てから国内世論がどのように動くかみていたんだろう」と話します。

そして、7日は韓国が報告書についてIAEAから説明を受ける前日。実は、ここからも韓国政府の慎重なバランス感覚がみてとれます。

韓国の最大野党「共に民主党」は、IAEAは日本寄りであるというキャンペーンを展開しています。共に民主党の幹部は、「IAEAの報告書は日本にあわせたものとなる可能性が高く、科学的というよりは政治的なものになる可能性がある」などと強調していました。

IAEAの説明を受けてから韓国政府の見解を発表すれば、日本寄りのIAEAの意見を受け入れた政府は弱腰だと批判される可能性も。そこで、IAEAから説明を受ける前日に政府として検証結果を発表したとみる専門家もいます。

ある意味、“超安全運転”で来た韓国政府。処理水の放出をめぐって国民の不安が根強い中、今後も批判が広がらないようにつとめ、説明を尽くすなどして懸念を払しょくしていく考えです。