ウクライナ軍“反転攻勢”強める 「ロシアとの国境にたどり着いた」北東部ハルキウ“奪還”
ウクライナ北東部ハルキウ州では、ウクライナ軍が反転攻勢を強めています。一方、南東部マリウポリにある製鉄所には攻撃が続いていて、無数の火の玉のようなものが降り注ぐ様子が映る映像について、イギリスの軍事専門家は「白リン弾か焼夷弾を使った攻撃のように見える」と指摘しました。
◇
ウクライナ第2の都市があるハルキウ州では、衣服などが集まる人道支援センターがロシア軍による攻撃を受けました。
いまなお「侵攻」を続けるロシアですが、ウクライナ軍が「反転攻勢」を強めているとの分析もあります。
ハルキウ近郊では、激しい戦闘の爪痕が残ります。ただ、室内には、お茶を作るなど休息をとるウクライナ兵の姿がありました。町をウクライナ軍が奪還したのです。
ウクライナ兵士
「我々はロシアを押しのけ、彼らはロシアに戻っている」
15日に公開された映像には、「きょう5月15日、侵略者の国、ロシアとの国境にたどり着いた」と話す兵士の姿がありました。ウクライナの部隊がロシア国境まで到達したと主張しています。
イギリス国防省も、「ロシアのドンバス攻撃は勢いを失い予定より大幅に遅れている。2月に投入した地上戦力の3分の1を失った可能性がある」と分析しています。
それでも、南東部マリウポリにあるアゾフスタリ製鉄所には、攻撃が続いていて、親ロシア派が15日公開した映像には、無数の火の玉のようなものが降り注ぐ様子も映っていました。ロイター通信は、イギリスの軍事専門家の分析として、「白リン弾か焼夷弾を使った攻撃に見える」と指摘しました。白リン弾は、重度のやけどを引き起こすなどとして人権団体が使用禁止を求める攻撃です。
◇
国際秩序を揺るがしたロシアによるウクライナ侵攻からまもなく3か月が経過する中、“歴史的な決断”を下したのがフィンランドです。
フィンランド マリン首相
「自国だけでは、ロシアの隣で平和な未来があるとはもう信じられない」
NATO(=北大西洋条約機構)への加盟を宣言しました。さらにスウェーデンも、NATO加盟へ向けて大きく動き出したのです。
スウェーデン アンデション首相
「スウェーデンがNATOに加盟すべきだという結論を出した」
NATOは、アメリカなど欧米30か国が加盟しています。そのNATOへの加盟を申請したフィンランドは、ロシアと国境が接し、スウェーデンは、その隣国です。
そもそも、ロシアのプーチン大統領は、NATOの拡大を止めようとウクライナへの侵攻に踏み切りました。2か国のNATO加盟への動きは、逆の結果を生み出したこととなる中、ロシアの外務次官は、「NATO加盟の選択は、世界情勢が根本的に変化することになる誤りだ」と批判しました。
近年でみると、モンテネグロが1年半かけ2017年に加盟し、北マケドニアが1年8か月かけ2020年に加盟するなど、NATO加盟には1年半以上がかかっていますが、「今回の手続きは迅速に行われる」との声もあがっています。