トンネルから…「火星18」発射実験の映像公開 金総書記“満面の笑み” 韓国“斬首作戦”訓練再開を検討
金正恩総書記立ち会いのもと行った新型ICBM「火星18」の発射実験とする動画を、北朝鮮が公開しました。北朝鮮の挑発行為が続く中、韓国は金総書記らの暗殺を任務とする“斬首作戦”の訓練再開を検討すると明らかにしました。
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19日午後3時すぎに放送された北朝鮮国営の朝鮮中央テレビ。映像は、次のように展開しました。
明け方の街並みの風景と、金正恩総書記の署名が入った命令書が映ると、トンネルのような場所から移動式の発射台が発進。新型ICBM=大陸間弾道ミサイルの「火星18」を搭載しています。発射台は、うっすらと雪化粧した田畑のような場所を進みます。
停止し立ち上がる発射台を、カメラは何度も回転しながらとらえます。
立ち会った金正恩総書記が中央指揮所で発射を承認しました。すると「発射承認された」の声に続き「3、2、1…発射!」の合図で轟音(ごうおん)とともに「火星18」が発射。何台ものカメラで繰り返し映し出されます。
朝鮮中央テレビ
「無慈悲な報復を与える絶対的意志と力を満装填(そうてん)した巨大な実体が、天地を震撼(しんかん)させるものすごい爆音とともに、巨大な火柱を噴出して大気を切り抜けながら、宇宙万里に飛び立った」
上昇を続けるミサイル「火星18」がとらえたのか、丸い地球が映し出されました。
発射を見守る金総書記の隣には、ピンクの防寒具を着てぴったりと寄り添うジュエ氏とみられる少女の姿もありました。満面の笑みを見せ、訓練に大きな満足を示したという金総書記。少女も穏やかな表情で視線を金総書記に向けていました。
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18日、ミサイルの発射訓練を行った北朝鮮。最高高度6518キロまで上昇し、1002キロを73分間飛行して、日本海上の目標水域に正確に着弾したと主張しています。
韓国メディアは前回7月に「火星18」が発射された時と比べて、技術的には大きな差はないとの見方を伝えていますが、注目すべき点もあると指摘します。
その1つが、映像の中でトンネルの中から発進した場面です。
韓国メディアは、見つかりにくいトンネルに隠れ、不意に外に移動して発射することができると映像で示すことで、ミサイルを発射する前に、米韓による先制攻撃を回避する能力があることを誇示する狙いがあると分析しています。
さらに前回7月の発射の際には、発射管の蓋が取り外され地面に落ちていましたが、今回は発射台に固定されていたと指摘しています。
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一方の韓国軍は19日、アメリカ軍と合同で行っている“敵の重要拠点を壊滅させる訓練”の映像を公開しました。訓練は北朝鮮を念頭に置いたもの。両軍の特殊部隊が敵の重要拠点を想定した建物の内部へと侵入し、射撃を行いました。
さらに、韓国の申源湜(シン・ウォンシク)国防相は、金正恩総書記らの暗殺を任務とするいわゆる“斬首作戦”について、訓練の再開を検討すると明らかにしました。
北朝鮮は、今回の発射でアメリカへの反発をあらわにしていて、今後、さらなる挑発行為も懸念されます。