ロシア人YouTuber北朝鮮を観光“自撮り棒”持ち自由に撮影 2か月前は撮影制限も…
ロシアのプーチン大統領が、今週にも24年ぶりに北朝鮮を訪問します。両国の友好ムードがかつてないほど高まる中、ロシア人の北朝鮮旅行も解禁。彼らがそこで受けた異例の待遇とは?
今年4月、ロシア人YouTuber、アレクサンドラさんは北朝鮮への観光ツアーに参加しました。
ロシア人YouTuber アレクサンドラさん
「事前に撮影の許可はもらっていましたが、初日はカメラを使うのに臆病になっていました」
最初は恐る恐るカメラを回し始めたものの、比較的自由な撮影を許されたといいます。
一行は凱旋(がいせん)門や展望台を観光した後、北朝鮮の歴代指導者、金日成主席と金正日総書記の巨大な銅像の前へ。
ロシア人YouTuber アレクサンドラさん
「希望者は指導者の像に献花するよう言われました。一般的に言われているような強制ではありませんでした」
ここでも自由な撮影が許可され、北朝鮮当局からお辞儀を強制されるようなこともなかったといいます。
さらに、一般市民と同じ地下鉄に乗ったり、楽器や踊りを練習する子どもたちを見学し、北朝鮮グルメも満喫。
ロシア人YouTuber アレクサンドラさん
「夕食前に平壌の街を散歩させてもらいました。自由に静かに歩き、長い“自撮り”棒を持っていたので周囲の人たちは怖がっていました」
ガイドが遠くから監視していたものの、長い自撮り棒を持ちながら街を自由に散歩できたといいます。
ロシア人YouTuber アレクサンドラさん
「物議を醸している政治体制の中でも、ほとんどの人は普通の生活を送ろうとしていると気がつきました」
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去年、ロシア極東で会談したプーチン大統領と金正恩総書記。経済や科学技術などの分野で協力を拡大することで合意しました。その一環として、今年2月には新型コロナ後としては“初”の外国からの団体旅行客をロシアから受け入れたのです。
ただ、受け入れ当初の今年2月の段階では、それほど“自由”はなかったようです。
2月の「ツアー第1号」に参加したロシア人YouTuber、ボスクレセンスキーさん。歴代指導者の銅像の前では…
ロシア人YouTuber ボスクレセンスキーさん(今年2月)
「私たちは花をささげ、お辞儀をすることを強制されました」
アレクサンドラさんの時とは違い、2月の段階では献花やお辞儀の強制に加え、細かい注意事項があったといいます。
ロシア人YouTuber ボスクレセンスキーさん(今年2月)
「『トラブルを避けたいのであれば、私たちの親愛なるリーダーたちに失礼のないように。写真を撮る時はまっすぐ立ってください』(と言われました)」
また、街中の撮影については、このような注意も…
北朝鮮のガイド(今年2月)
「ルールを改めてお伝えします。軍人や汚れた作業着を着た人を撮影してはいけません。きれいな服装の人だけを撮影してください」
ロシア人YouTuber ボスクレセンスキーさん
「『それはしないほうがいいですよ、そうしないと困ったことになりますよ』という言葉を聞くと、背筋に冷や汗が流れます」
こうした厳しい規制により、その後の観光ツアーへの参加者が減少したという報道も…。
それから2か月後のツアーに参加したアレクサンドラさん。厳しい規制は、若干緩和されたのではないかと話します。
ロシア人YouTuber アレクサンドラさん
「全部ではありませんが、撮影に関しては、制限は緩和されたと思います。困難な問題には遭遇しませんでした。ガイドからのプレッシャーはありませんでした。非常に快適でリラックスできた旅行でした」
変化の背景には何があるのか。
NNNモスクワ 平山晃一支局長
「北朝鮮は今、軍事だけではなく経済の新たな主要パートナーとしてもロシアに熱い視線を向けているように感じます。最近行われたロシアでの経済イベントにも北朝鮮の参加が相次いで伝えられています。旅行者への待遇変化は、『ロシア人観光』を軌道に乗せたい北朝鮮の本気度を示すものと言えるかもしれません」
金総書記の招待に応じて、今週にも24年ぶりに北朝鮮を訪れるプーチン大統領。両国の急接近を各国も注視しています。