100人以上犠牲の村で生き残り…夫「ハマスが地上から1人もいなくなるまで徹底攻撃を」 妊娠6か月の妻「この子にも伝える」 続く憎しみと暴力の応酬、ガザ地区への侵攻は
地上侵攻にいつ踏み切るのか、現地では緊張が高まっています。パレスチナのガザ地区では、断続的に黒煙があがるなど、イスラエル軍による報復攻撃が続いていることがうかがえます。イスラエルの首相は、イスラム組織「ハマス」について「根絶やしにする準備はできている」とガザ地区への侵攻を改めて示唆しました。エルサレムから鈴木あづさ記者がリポート。
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いま私がいるのは西エルサレムの目抜き通りなんですが、ハマスの攻撃以来、町には多くの国旗が掲げられ、人々が連帯を示しています。テロを警戒し、警察官が常に見回っていて、 人々は「次は私かもしれない」と日々恐怖に震えています。日増しに人々の不安と緊張が高まっているのがわかります。
今回、取材していて1番感じるのは、憎しみと暴力の果てしない応酬の中で犠牲になる、市民の悲しみと怒りの強さです。
100人以上の犠牲者を出した村で生き残った夫婦は、「絶対に許さない。ハマスがこの地上から1人もいなくなるまで徹底して攻撃すべきだ」と語りました。奥さんが妊娠6か月のおなかをさすりながら、「このことは絶対この子にも伝えます」とつぶやいたことに衝撃を受けました。
こうして次の世代に憎しみが受け継がれていくことに危機感を覚えます。
今回の衝突は、長い歴史の中で生まれたものです。根っこにあるのは、イスラエルの建国や入植活動によって故郷を追われたパレスチナ人の怒りや悲しみです。
パレスチナ人が住むガザ地区は長年、人や物の移動が制限されていて、「天井のない監獄」と呼ばれています。国際社会がそうしたことに見て見ぬふりをしてきたことも要因の1つです。
長期化すればそこにあるのは民間人の犠牲と、果てしない憎しみの連鎖でしかありません。