「ウクライナの英雄が生きている必要がある」……マリウポリの兵士がロシア側支配地域へ“避難” 製鉄所「陥落」の可能性
ウクライナ南東部マリウポリで、「最後の砦」の製鉄所で徹底抗戦を続けてきた兵士らが、ロシア側の支配地域に避難しました。製鉄所は陥落した可能性があります。一方、フィンランドに続きスウェーデンもNATO加盟を申請。ロシア側は強く反発しています。
■ロシア側、「投降」映像を公開
ロシアとの国境に近く、親ロシア派が支配するウクライナ東部のノボアゾフスク。ここでは16日深夜、赤十字マークをつけた車両が続々と到着していました。ロシア軍を意味する「Z」の文字も確認できます。負傷したウクライナの兵士たちが運び込まれていました。
ロシア側は、ウクライナ軍の兵士が投降したとされた映像をテレグラムで公開しました。ボディーチェックを受けたり、担架で運ばれたりする兵士の様子が写っています。バスに次々と乗せられ、車内では負傷者が治療を受けていました。
■3か月徹底抗戦…「任務を全うした」
兵士たちがいたのは、ロシア軍に包囲されていた南東部マリウポリにある製鉄所です。攻撃が激化する中、最後の砦として3か月近く、製鉄所の地下で徹底抗戦を続けてきました。
治安組織「アゾフ連隊」の司令官は、SNSで「兵士たちの命と健康を保持するという任務にすべてをささげた」と説明。兵士を避難させたことを明らかにしました。
ウクライナ軍は17日、「マリウポリの防衛隊は戦闘任務を全うした」と発表しました。製鉄所は陥落した可能性があります。ウクライナの国防次官は、製鉄所から避難した重傷の戦闘員53人を含む264人が、ロシア側の支配地域に到着したと明らかにしました。
■「捕虜交換」の意向も…協議中断
ゼレンスキー大統領は「ウクライナにはウクライナの英雄が生きている必要がある。彼らを帰還させるための作業は続いており、それには繊細さと時間が必要だ」と訴えました。
ウクライナの副首相は、負傷した兵士が回復した後に、ロシアの捕虜と交換する方針を示しました。
一方、ロシアメディアは、ロシアの外務次官がウクライナとの停戦協議が中断していることを明らかにしたと報じました。ウクライナ側も、協議が行われていないことを認めています。
■NATO拡大の動き…ロシアは反発
こうした中、フィンランドに続いてスウェーデンが、NATO加盟の申請を表明しました。アンデション首相は、北欧での軍事的な紛争を未然に防ぐ力が強まると強調しました。
プーチン大統領は「これ(NATO拡大)はアメリカの外交政策の利益のために行われていて、完全に人為的な問題だ」と、NATO拡大の動きに強く反発しました。
さらにトルコのエルドアン大統領は、スウェーデンとフィンランドについて「加盟を認めない」と発言しました。
(5月17日『news zero』より)