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北欧2国「NATO加盟申請」 トルコが“待った”…ロシアへの配慮や各国から譲歩引き出す思惑か

2022年5月17日 21:32

ロシアがウクライナ侵攻を開始してから、まもなく3か月となる中、北欧2国が動き出しました。「軍事的中立」からの“歴史的転換”。フィンランドとスウェーデンはNATO(=北大西洋条約機構)への加盟申請を表明しました。そこに“待った”をかけたのがトルコのエルドアン大統領です。ロシアへの配慮に加え、各国から一層の譲歩を引き出す思惑があるとみられます。

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ウクライナ・ドネツク州ノボアゾフスクに16日、数台の車両が闇夜に到着しました。

中には、ベッドで横たわる多くの兵士たちの姿があり、担架で運び出される様子もありました。彼らは南東部マリウポリのアゾフスタリ製鉄所から避難した戦闘員です。

ウクライナが防衛を続けていたマリウポリですが、今後、ロシア側が完全に掌握する可能性も出てきています。

アゾフスタリ製鉄所内部とされる写真には、わずかな明かりを頼りに読書やチェスにいそしむ兵士たちなどが写っています。

“最後の砦”として、ロシア軍の侵攻に立ち向かってきましたが、15日に公開された映像には、無数の“火の玉”が降り注ぎ、激しく爆発する様子も見られました。

この製鉄所について、ウクライナ軍参謀本部は17日、「マリウポリの防衛隊は戦闘任務を全うした」と防衛任務の終了を発表しました。その上で、施設内に残る戦闘員などの救出を急ぐ考えを示しました。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、16日に自身のFacebookに公開した動画で「ウクライナには、ウクライナの英雄が生きている必要がある。マリウポリの兵士を救出する作戦は、わが国の軍人と情報将校によって開始された」と述べました。

16日、ロシア側が支配する地域には、負傷した兵士たちを乗せた車両が到着しました。今後、ウクライナ側が拘束したロシア側の捕虜との交換手続きが行われる見通しです。

ウクライナ側がアゾフスタリ製鉄所を明け渡すことになれば、ロシア側が事実上、マリウポリを“完全掌握”する可能性があります。

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ロシアがウクライナ侵攻を開始してから、まもなく3か月となる中、北欧2国が動き出しました。

フィンランド マリン首相
「自国だけでは、ロシアの隣で平和な未来があるとは、もう信じられない」

スウェーデン アンデション首相
「スウェーデン政府は、正式にNATOに加盟申請することを決定した」

「軍事的中立」からの“歴史的転換”。フィンランドとスウェーデンはNATO(=北大西洋条約機構)への加盟申請を表明しました。

しかし、そこに“待った”をかけたのが、トルコのエルドアン大統領です。

NATOへの加盟には加盟国すべての同意が必要ですが、トルコは2国が「テロ組織を支援している」としていて、エルドアン大統領は「認めない」と述べたのです。ロシアへの配慮に加え、各国から一層の譲歩を引き出す思惑があるとみられます。

また、ロシアのプーチン大統領も強く反発しています。

ロシア プーチン大統領
「これ(NATO拡大)はアメリカの外交政策の利益のために行われていて、完全に人為的な問題だ」

スウェーデンなどに、新たに軍事施設などが設置されれば「ロシアは対応する」などと、けん制しています。

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一方で、侵攻の影響は“人気店”にも及んでいます。

ハンバーガーチェーン大手の「マクドナルド」が撤退を発表したのです。1号店は1990年にオープンし、人気を集めて30年以上となりますが、ロシア市場から撤退し、事業の売却手続きを開始したと発表しました。

マクドナルド
「戦争による人道危機と予測不可能な経営環境から、ロシアで継続して事業を行うことは不可能」

マクドナルドは、撤退に伴う損失を日本円で最大約1800億円と見込んでいます。

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