イギリスのジョンソン首相が7日、辞任を表明しました。政治家らしからぬボサボサの髪形やユニークなパフォーマンスなどで、親しみやすさをアピールしてきたジョンソン首相。EU（＝ヨーロッパ連合）から離脱し、国民に支持されてきましたが、新型コロナウイルス対策をめぐり、一転して窮地に追い込まれました。

　　　　　◇

ジョンソン首相は2019年7月、「EU離脱」を掲げ保守党の党首に選出され、首相に就任しました。翌年の2020年にイギリスはEUを離脱しました。

ジョンソン首相はアメリカのトランプ前大統領とも親しく、「イギリスのトランプ」とも呼ばれていました。

政治家らしからぬボサボサの髪形に、ロンドン市長時代には自転車で通勤するなど、親しみやすさをアピールしました。子供たちとラグビーをした時には、本気のタックルで子供を押し倒してしまう場面もありました。

　　　　　◇

イギリス国民に支持されてきたジョンソン首相は新型コロナウイルス対策をめぐって、一転して窮地に追い込まれました。初動の遅れからイギリス国内で新型コロナ感染が急拡大し、多くの死者が出ました。そして、ジョンソン首相自身も新型コロナに感染しました。

ジョンソン首相
「まだ軽度の症状が残っていて熱があります。政府の指示に従って、症状がなくなるまで自己隔離を続けます」

一時、イギリス全土がロックダウンする事態となった中、ジョンソン首相が首相官邸の庭で飲み会をしていたことが明らかになりました。それも1度ではなく、何回も繰り返されていました。

ジョンソン首相は「仕事の一環だった」と釈明するものの、辞任を求める声が相次ぎました。

　　　　　◇

すると、外交で得点を稼ぐためなのか、ジョンソン首相は今年4月、G7（主要7か国）首脳として初めて、ロシアによる侵攻で戦地となったウクライナ・キーウを電撃訪問しました。

ジョンソン首相
「イギリスなどは設備や技術を提供し、ウクライナが二度と侵略されないよう、ウクライナが二度と脅かされないよう守る必要がある」

　　　　　◇

今年6月にドイツ・エルマウで行われたG7サミットでは、ジョンソン首相はロシアのプーチン大統領をいじるジョークを言う場面もありました。

ジョンソン首相
「服を脱がないかい？　我々がタフだってところを見せないと」

　　　　　◇

しかし6月、ジョンソン首相自ら任命した与党幹部の痴漢疑惑が浮上しました。首相が痴漢疑惑などを認識しながら任命していた疑いも指摘され、さらに窮地に追い込まれました。こうした中、ジョンソン首相の辞任を求める声が出ていました。