韓国“K防疫”成果強調も…集団感染相次ぐ
新型コロナウイルスの感染を一時、抑え込んでいた韓国ですが、ソウルなどで集団感染が相次いでいます。いわゆる“第2波”に備え、対策が次々と打ち出されています。
韓国・大邱。新興宗教団体の教会で起きた大規模な集団感染からおよそ3か月が経ちました。周囲のお店は営業を再開していて、人々も行き交っていますが、教会が入っている建物だけは、今も閉鎖されたままです。
近所に住む人「あのときは本当に怖くて、この街はとても恐ろしかった」「今は心に少し余裕ができた」
大邱周辺の大規模な感染を抑え込んだ韓国。
文在寅大統領「我々の防疫モデルは国際社会の評価も高く“K防疫”が世界の標準になっている」
文大統領は、“K防疫”と対策の成果をアピールしましたが、抑え込みの成功は長くは続きませんでした。
5月の連休の最中、ソウル市内の繁華街・梨泰院のクラブで発生した集団感染。不特定多数が出入りする“夜の街”では、接触者の追跡調査が難航しました。
調査に時間がかかったことで、感染はさらに飛び火。首都圏の物流センターや教会などで、次々に新たな集団感染が起きてしまったのです。ここ数日では50人前後の新たな感染者が出ています。
丁世均首相「今日からクラブ、カラオケなど危険が高い施設を対象に、電子名簿制度が導入される」
そこで韓国政府は…「QRコード」を使った追跡調査のシステムを導入しました。ソウル市内のカラオケ店では、来店し体温をチェックした後、客は名前と電話番号などを登録した「QRコード」を作成し提示。店側がこれを読み込みます。客の個人情報は店側は見られず、感染者が出た場合、保健当局だけが確認できる仕組みです。
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さらに“第2波”への備えとして、医療体制の拡充も進んでいます。こちらはソウル近郊の呼吸器専門のクリニック。
河南市保健所長「ここは元々は図書館でした」
改装予定だった図書館を臨時のクリニックに造り替えました。クリニックは事前予約制で、診察料は無料。
河南市保健所長「地域社会では軽い風邪のような人がコロナかもしれないので、早く見つけ遮断するのが目的だ」
韓国政府は感染“第2波”や長期化に備え、こうしたクリニックを国内に1000か所整備する計画です。また、ソウル市ではまったく症状が無くても感染しているケースがあるとして、希望する市民に無料でウイルス検査を始めました。
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進む対策の一方で、懸念もあります。ソウルなどの集団感染を受けて、韓国政府は、先月29日から首都圏で外出の自粛などを要請していますが、ほぼ効果は出ていません。
韓国・保健福祉相「今、私たちは重大な岐路に立っている」
韓国政府は12日、今の防疫措置を“無期限”で延長すると発表。市民にも協力を呼びかけました。再び感染を抑え込めるのか、韓国のコロナ対策は正念場を迎えています。