米大統領選挙 劣勢トランプの巻き返し戦略
知っておきたいデータや情報をひもとく「input」。今回は、アメリカ大統領選挙の最新情報をお伝えする“USチョイス”、「トランプ大統領の巻き返し戦略」について。日本テレビ国際部の小林秀美記者に聞いた。
――2か月後に迫ったアメリカ大統領選がいよいよ本格化してきましたね。
“トランプ大統領対民主党のバイデン候補”という対立の構図が正式に固まったのですが、最新の世論調査ではトランプ大統領はバイデン候補にリードを許していて、巻き返しに躍起になっています。
――トランプ大統領はどうやって逆転を図っているのでしょうか。
トランプ陣営の最近の言動を見ると、バイデン候補に2つのレッテルを貼ろうとしていることが鮮明になってきました。
バイデン氏が大統領になれば、アメリカは
・過激左派に乗っ取られる
・中国に支配される
という主張です。
トランプ陣営、共和党大会で流された映像がこちらです。
共和党大会で流された映像「“過激左派”が民主党を支配している。バイデンもその一味だ。バイデン氏が政権につけば“過激左派”たちが目的を遂行する。そして代償を払うのはあなただ。彼らはすでにバイデン氏と民主党を乗っ取った。アメリカまで乗っ取らせてはならない」
――かなり強い言葉で批判していますね。
実際のバイデン候補は民主党の中でも“中道”とされています。しかし、バイデン陣営を「ラディカル・レフト=過激な左派」だと何度も何度も繰り返すことで、そのイメージを植え付け、中道的な考え方をもつ有権者を民主党から引きはがす狙いがあります。
そして、2つめの戦略がバイデン氏と中国の関係です。党大会の初日、トランプ大統領は次のように訴えかけました。
共和党大会初日・トランプ大統領の訴え「バイデン氏が当選すれば中国がアメリカを支配する。そんなことは許さない」
このようにトランプ大統領はバイデン候補が“中国寄り”で弱腰だと訴えたり、民主党と中国を直接結びつける言動を繰り返したりしています。
ほかにも共和党大会の応援演説では「北京のバイデン」や「中国のチアリーダー」など、いわばイメージ先行の言葉が相次いで飛び出しました。
――バイデン候補が中国寄りだととにかく強調しているのですね。
その一方で、“トランプ政権は中国に強い姿勢でのぞんでいる”と訴えて、民主党とは違うとアピールしています。
様々な分野で米中の対立が激しくなる中、国民の不満や不安をとらえて自身の支持につなげる戦略です。
――選挙戦は激しさを増しそうですね。
トランプ大統領はもともと“岩盤支持層”という強固な支持基盤を持っていますが、最近では共和党の身内から“離反”の動きも出ています。トランプ大統領がどこまで巻き返すことができるか、予断を許さない状況です。
【the SOCIAL inputより】