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【独自】チハノフスカヤ氏インタビュー後編

2020年8月31日 18:17
【独自】チハノフスカヤ氏インタビュー後編

旧ソビエトのベラルーシで、8月9日に行われた大統領選挙。
26年間にわたって権力を握り続け「ヨーロッパ最後の独裁者」と呼ばれるルカシェンコ大統領に挑んだ1人の女性がいました。

スヴェトラーナ・チハノフスカヤ氏、37歳。

政権に批判的だったブロガーの夫が大統領選への出馬を禁じられ、収監されたことを機に、夫の解放を求め立ち上がった彼女。
たった数週間でルカシェンコ大統領にとっての最大の強敵となり、現政権に不満を持つ国民から熱狂的な支持を集めたことで、世界的に一躍時の人となりました。
選挙後、不正を訴え選挙のやり直しを求めて平和的な抗議活動を続けるチハノフスカヤ氏にNNNモスクワ支局は日本のメディアとして初めて単独インタビューしました。

(前編から続く)

Q:なぜあなたは大統領選挙に立候補されたのですか?その理由は?

子供たちには言論の自由があり、自分の支持するリーダーに投票できる国で育って欲しいからです。


Q:ベラルーシでの生活では、これまでどのような制限が有り自由が奪われていたのか?具体的に体験したことを教えて下さい?

私たちはいつも恐怖のもとで生活しています。政権に批判的なことを言うと刑務所に入れられることや、職を奪われる可能性があります。私たちはいつもストレスを抱えており、恐怖のもとで生活していました。言いたいことを表現出来ないのです。とても苦しいことです。今年、ベラルーシ国民は声をあげました。自分たちには権利があり、そのために今、闘わなければならないと理解したのです。


Q:政権側との対話を通じた平和的な権力移行を目指す中、現在、政権側はそれに応じようとしていません。今後も応じる可能性は少ないと思われる中、どうすれば対話が可能になりますか?また、対話が実現するまでデモを続けますか?

政権側が対話しようとしない状況は理解しています。しかし、いつかは耳を傾けなければならなくなるはずです。なぜなら、ベラルーシ国民は変わったのです。今の権力のもとで生活することは出来なくなったのです。私たちはもう政権の言いなりではないのです。誰もが自由であるべきだと気づき、今の政権を恐れることはなくなったのです。遅かれ早かれ、国民は今の政権から離れていくでしょう。


Q:政権側が対話に応じない場合、どの様な解決策がありますか?そして何を最終目標にしていますか?

私たちの最大の目標は平等で透明性のある選挙です。それを実現するためには、今の大統領ではない新たな政権が必要です。ただ政治的危機ではありますが、私達は経済的危機を望んでいません。そして、政権もそれを望んでいないと思います。ですから、いつかは対話に臨むはずです。


Q:EUのような国際機関の支援を受けたいと思いますか?政権側との対話や解決のために国際機関の支援は欠かせないと思いますか?

ベラルーシで起きていることは国内問題です。平等な選挙を求めているだけで、今の大統領のもとで暮らしたくないのです。ベラルーシを自由な国にしたいという私たちの望みを、もし外国が支援してくれて助けてくれるのなら、もちろん私たちは感謝します。この状況に対し支援してくれるどのようなことにも私たちは賛同します。


Q:政権の後ろ盾となっているロシアは、今回の問題はベラルーシの国内問題であり、外国は内政干渉すべきではないとしています。このロシアとの関係について、どのように考えていますか?ロシア政府の報道官は、野党側のロシアとのパートナー関係の意欲は最小限しか無いと述べていますが、どう考えますか?

ロシアは私たちの隣国で、重要な貿易関係を築いています。この関係を単に壊すことは出来ません。私たちはずっと隣国です。他にも隣国があります。どの国とも私たちは友好関係でいたいのです。ロシアに求めることは、他の国に求めるものと同じです。今のベラルーシの平穏を尊重して欲しいということです。


Q:ベラルーシ国内の事態が深刻化した時、ロシアが軍事的な介入をする可能性はありますか?

何が起こるかわかりませんが、ロシアがこの国内問題に干渉せず、ベラルーシの平穏を尊重してくれることを願っています。ロシアは隣国で、誰もケンカをしたくないのです。ただ、友好関係でいたいだけです。


Q:最後に、主婦だったあなたが市民の象徴として政権と闘う、その力の源は何ですか?

私は政治家になりたいとは思ってもいませんでした。そして、この立場にいることも想定していませんでした。しかしこれが私の運命だということを今は理解しています。民主化を実現させることを願っていますし、出来ると確信しています。ベラルーシでは歴史が動いているのです。