フィンランド「NATO加盟」へ 軍事的“中立”から政策転換 国民に危機意識
ロシアのウクライナ侵攻を受け、北欧のフィンランドがNATO(=北大西洋条約機構)に加盟を申請することを正式に表明しました。長年維持してきた「軍事的中立」からの転換となりますが、ロシアとの国境地帯ではすでにある異変も起きています。
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15日、フィンランドのマリン首相は、NATOへの加盟申請を決めたと宣言しました。
フィンランド マリン首相
「ロシアがウクライナを攻撃したことで全てが変わった。ロシアの隣国である以上、自力で平和な未来は維持できない」
同じ日、隣国スウェーデンも、ロシアの脅威を前にNATO加盟に向けて大きく動き出しました。
スウェーデン アンデション首相
「ロシアの不当なウクライナ侵攻は、不法で弁護できないだけでなく、スウェーデンが防衛の基礎をおくヨーロッパの安全保障環境を損なうものだ」
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ロシアとフィンランドの国境の近くには、4年前にロシア人向けに作られたショッピングセンターがあります。有名ブランドショップが軒を連ねていますが、15日に訪れると、週末にもかかわらず、施設の中は閑散としていました。
地元住民
「以前は国境を越えてたくさんのロシア人が来ていました。彼らのためにつくった施設だから」
ウクライナへの侵攻後、経済制裁によりロシア人の物品の購入が制限されたことなどから、ロシア人を対象としたツアー旅行のキャンセルが相次いだといいます。
今の緊張関係を象徴するように、人の往来も激減していました。
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ロシアと約1300キロに渡って国境を接するフィンランド。国境には現在、「立ち入り禁止」の看板こそあるものの、警備をする兵士の姿や特段の障害物はみられません。しかし、今後強固な壁を建設する計画も持ち上がっています。
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ロシアを刺激しないよう、フィンランドは軍事的な中立政策を続けてきました。一方で、ロシアの脅威に対する備えは欠かしませんでした。
首都ヘルシンキにあるプールは、地下の堅い岩盤を数十メートルもくりぬいて作られ、有事の際は4000人近くを収容できるシェルターになります。
地下鉄の駅も天井が鉄板で覆われ、有事の際には生物化学兵器に対応できるシェルターに転用されます。
ウクライナ侵攻後、国民の危機意識も一気に高まりました。侵攻開始直後に、射撃や応急処置などの訓練に参加する市民が、以前の7倍にも急増したのです。
教官
「手は(銃の)近くに添えます。遠くにするとブレるので、身体に近づけると安定します」
参加した市民(16)
「ウクライナの状況を見て、自分には国を守る義務があり、そのために訓練をしないといけないという感情がわきました」
こうした中、NATO加盟を支持する世論がフィンランド国内で急速に高まり、安全保障政策の転換に踏み切ったのです。
この方針転換について市民は――
市民
「安全保障や他国からの支援が必要。(NATO加盟は)良いことです。でもロシアがどう反応するか、とても恐ろしいです」
市民
「ロシアは今ウクライナにかかりっきり、今すぐ脅威というわけではありません。しかし、今の戦争が終わったら、次に何が起きるのかはわかりません」
一方、ロシアのプーチン大統領は、「フィンランドに安全保障上の脅威はない。有益だった2国間関係に、悪影響を及ぼす可能性がある」と警告しました。
NATO加盟には、加盟国の全会一致が必要で、トルコが難色を示していますが、NATOの事務総長は「合意点を見いだすことができる」との見方を示しています。