ワクチン接種拡大へ課題と対策 アメリカ
去年12月にワクチンの接種が始まったアメリカ。開始から2か月がたち、見えてきたワクチン接種拡大のための課題や対策とは。ニューヨーク・ヤンキースの本拠地「ヤンキースタジアム」の前から飯塚記者が伝える。
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ヤンキースタジアムは、今月から、ワクチンの接種会場として使われていて、現在、朝8時すぎなんですが、長い行列ができています。
CDC(=疾病対策センター)によりますと、14日までの時点で、アメリカ国内で3829万人あまりが少なくとも1回目のワクチン接種を終えました。これはアメリカの人口の1割を上回っています。
接種開始当初は、国と州との連携ができていなかったり、人や設備の不足などで、ワクチンがあっても接種が進まないという課題がありましたが、州ごとにこのような大規模接種会場を次々と設置し、現在は、徐々に広がっています。
今は当初の逆で、ワクチンを接種する体制はあるのに、連邦政府から配られるワクチンが足りないという問題も出てきています。
ニューヨーク市では、接種を予約するためのサイトを開設していますが、実際に予約作業をした人に聞くと、予約が先まで埋まってしまっていて、予約がなかなか取れなかったという問題もあります。
一方、接種拡大への課題の一つとなっているワクチンへの不信感ですが、1月末に行われた世論調査では、71%が「ワクチン接種に前向き」と回答しています。ただ、黒人住民などの間には根強い不信感もあります。
こちらの会場では、ワクチン接種をした人にヤンキースグッズの配布を行うなど、接種を広げるための工夫が行われています。
バイデン大統領は、就任100日で1億回分のワクチン接種を目標として掲げ、対策を打ち出しています。先週からは、接種加速のために連邦政府が直接薬局やスーパーなどにワクチンを届け、接種を広げているほか、16日からはカリフォルニア州に巨大なワクチンセンターが設置されます。
現在は、高齢者やリスクの高い職種の人たちに優先的に接種が行われていますが、政府高官は4月には、「全員が接種を受けられる状態になるだろう」との認識を示しています。
先行するアメリカで、今よりもさらに大規模な接種が行われる時にどのような進め方になるのか、混乱は起きないか、これから接種を進めることになる日本でも参考になりそうです。