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「自由が完全崩壊した」・・・香港の民主活動家・周庭さんが語った恐怖

2024年4月13日 18:31
「自由が完全崩壊した」・・・香港の民主活動家・周庭さんが語った恐怖

香港では3月23日に、スパイ活動などを取り締まる「国家安全条例」が施行されました。言論統制の強化が懸念される香港について、カナダで事実上の亡命生活を送る周庭さんがNNNの取材に応じ、今の香港は「自由が崩壊した」と語りました。

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3月下旬にもかかわらず珍しく雪が降る中、待ち合わせ場所に来てくれたのは香港の民主活動家・周庭さん。去年9月にトロントに留学し、12月に自らのSNSで「もう香港には帰らない」と事実上の亡命を表明しました。

周庭さん
「雪がわりと好きですね。雪を見ると私はもう香港にいないという実感もわいてきて、好きですね。雪が」

故郷で見ることのない雪を見ると、皮肉にも安心感を与えてくれると話してくれます。

香港では2019年の大規模デモをきっかけに反政府的な動きを取り締まる「香港国家安全維持法」が施行。周庭さんは2020年8月、国家安全維持法違反容疑で逮捕されました。

周庭さん
「すごいノックの音だったので、警察だとすぐにわかりました。警察が家の鍵(ロック)を壊そうとして、すごく怖かったんですけど、私がドアを開けて国家安全法違反で逮捕しますと言われて、1時間以上、2時間ぐらい家じゅう捜査されて、携帯やパソコンも全部没収されました。ノックの音を聞くとおかしくなっちゃうので、すごく怖いです。デリバリーを頼むとき必ずアプリでノックしないで下さいと書きます」

周庭さんはその後も別の罪で10か月の実刑判決を受け、2021年6月に出所。警察にカナダに留学したいと伝えると、“懺悔書”を書かされました。

周庭さん
「二度と香港の社会運動には参加しません。仲間には連絡を取りませんと書かされました」

さらに警察の「スパイ」になるように持ちかけられたと言います。

周庭さん
「カナダに行けることになったら、海外の香港の活動家の情報を私たち(警察)に提供しませんかという誘いもあって」

「活動家とはこの3年間連絡していないのに、急に私から連絡してもおかしいと思われるでしょうという理由で(警察からの持ちかけを)断りました」

その後、香港当局はカナダ留学のために、ある条件を持ちかけました。

周庭さん
「もう一つの条件があります。中国大陸にいくことです。と(警察に)言われました。もうショックすぎて反応できなかったんです。8月中旬ぐらいに警察と深センに行きました。(深センでは)改革開放の展覧会と(中国IT大手の)テンセントの本部に行きました。香港には一国二制度というシステムがあって、香港警察が香港人を中国大陸に連れて行くことは香港の法律にも書いていない。政府や警察が法律を超える存在」

周さんは去年夏、日帰りで警察とともに深センを訪問。中国の経済発展に関する展示会とIT大手企業を訪問した後、ある手紙を書かされたと話します。

周庭さん
「中国の発展や強さを私に見せたいんだと思う。感謝の手紙は深センに行ってその夜書かされました。香港警察のおかげで中国の偉大なる発展を知りましたみたいな。香港の警察に感謝します。これからカナダに留学します。みたいな手紙でした」

その後、去年9月に周さんはトロントに引っ越し、誕生日を迎えた12月に香港には戻らないと自らのSNSで発表しました。

周庭さん
「中国大陸に行かされて懺悔書も書かされて、香港の政治的状況もますます厳しくなっていて、香港に戻るともうカナダに帰れなくなるかなという心配もあって、また逮捕されるのではというのもあって、カナダから帰らないことにしました。一人で決めました」

香港では3月23日に、香港国家安全維持法を補完する「国家安全条例」が施行されました。犯罪の定義が広く、周さんはさらなる統制強化を懸念します。

周庭さん
「政府や警察に極めて大きな権力を与えたので、国家安全という名目で香港政府も警察もやりたい放題になってしまうことは非常に悲しいことだと思います」

「自由が保証されているのは香港の良さの一つだったが、今は良さが完全崩壊になってしまって。以前の私は香港人だから香港が好きだとよく言っていたが、今は香港が好きだとは言えなくなりました。色々考えて、読んで、結論として自分の声が出せないと本当の自由じゃないという結論になりました。自分の考え方を自由に言えることが本当の自由の意味じゃないかと思います」

日本のアニメやドラマが好きで日本語を学んだという周さんは今の日本についてこう語ります。

周庭さん
「日本はある程度の民主主義の国で、自由もある程度保障されていて、そういう国なのに自分が持っている権利を大切にしない人がたくさんいるんじゃないかなと感じられて。香港への注目も大事だけれども日本人としても自分の町に何が起きているかを見て、自分の意見や声をもっと出してもいいんじゃないかと思います」

最後に周さんに、今後の活動について聞いてみました。

周庭さん
「12年間政治(活動)をやってきて、政治以外のものにも挑戦してみたい気持ちもありますね。YouTubeも再開したし、新しい動画も絶賛編集中で、政治的な動画だけではなく楽しい動画も撮りたい。日本にいつかいけるようになったら景色の良い場所に行ってフィルム用の写真を撮りたいと思います。北海道のラベンダー畑にも行きたいですね」

中国による統治が徹底され言論の萎縮が加速する香港。周さんが再び故郷に戻れる日は近くありません。

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