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“賃金”に決定的違い インフレのアメリカと円安で物価上昇の日本

2022年6月17日 22:01
“賃金”に決定的違い インフレのアメリカと円安で物価上昇の日本

17日、日銀は金融政策を決める会合で金利を低く抑える大規模な金融緩和策の維持を決めました。円安の原因の1つには、アメリカの歴史的インフレがありますが、同じ物価高の日本とは賃金で決定的な違いがあります。

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東京・千代田区にあるステーキハウスでは、看板商品のアメリカ産の牛肉だけでなく、フライドポテトや油など軒並み値上がり中だといいます。

市ヶ谷テキサス 近藤秀士店長
「お肉の値段が200円から500円ぐらい上がっているものも。お店としては大変苦しい状況ですね」

この半年で、1ドル115円から135円まで進んだ急速な円安。日銀の対応が注目された17日の金融政策を決める会合では、日銀は金利を低く抑える大機規模な金融緩和策の維持を決定しました。為替相場は一時、1ドル134円台半ばまで下落しました。

日本は、景気回復のため金利を低く抑える政策をとっていますが、逆にアメリカは金利を上げる政策をとっていて、運用時に利子を得やすくなるため、円を売ってドルを買う動きが強まり円安が進んでいるのです。

この円安の背景にあるのはアメリカの“記録的なインフレ”です。

16日、ニューヨークのスーパーを訪れると、深刻な物価高の状況が明らかになりました。卵のパックは1つ6ドルほどと、日本円で約800円、1つあたり約70円でした。1年前の同じ月と比べると、卵は4倍ほどの価格になっています。(アメリカ 卵の平均価格 去年6月1.642ドル アメリカ労働統計局より)日本では30円程度のもやしも、400円ほどしました。

買い物客
「パイナップルを買いました。小さなもので8ドル(約1070円)でした。あらゆるものが高くなったと感じています」

そのため、一度手にした商品を棚に戻す客の姿もありました。

買い物客
「1年前と比べて支払う額は50%増しになってると思う」

値上げは、日本食のレストランでも実施されていました。例えば、「ばらちらし」は以前、イクラものって19ドルでしたが…

日本食レストラン「うおくに」 吉澤邦明ゼネラルマネジャー
「今はイクラを外して23ドル」

「ほっけ焼き」は17日時点で45ドルと、約6000円まで値上げしました。

日本食レストラン「うおくに」 吉澤邦明ゼネラルマネジャー
「フードコストがすごく上がってきてしまって、値上げせざるを得ないような所まで追い込まれている」

その記録的なインフレを抑え込むため、アメリカでは15日、中央銀行にあたるFRB(=連邦準備制度理事会)が約27年半ぶりとなる0.75%の大幅利上げを決定しました。金利が上がることで、企業などが消費を抑制、物価の安定につながります。

ただ、このレストランでは、値上げをしても客足にそれほど影響はないといいます。そのわけは──

日本食レストラン「うおくに」 吉澤邦明ゼネラルマネジャー
「給料も上がっているのかな、という印象はある」

実はアメリカでは記録的なインフレの一方で、労働者の賃金が着実に増加しています。アメリカ労働統計局によると、賃金は去年3月までの1年間で2.7%増加、さらに、今年3月までで4.7%増加しているということです。(アメリカ労働者の賃金・給与 2020年3月→去年3月 2.7%増 去年3月→今年3月 4.7%増 アメリカ労働統計局)

物価が上昇する時には、賃上げもしないと景気回復には繋がりません。東京・千代田区のステーキハウス「市ヶ谷テキサス」では、アルバイトのシフトを減らした分、負担が増えた正社員の賃上げを、今月から実施したといいます。

市ヶ谷テキサス 近藤秀士店長
「苦しいながらも上げているっていうのが現状」

東京商工リサーチによると、中小企業の多くで「賃上げの意欲はあるものの、売り上げ減少で体力的に難しい」との声も出ているといいます。

さらに円安による輸入コストの増大が企業に打撃を与える中…

日銀 黒田東彦総裁
「やや、急速な為替の変動がおこったということで、これは好ましくないとはっきり申し上げる」

市場関係者は、「コロナ禍からの景気回復が遅れている今の日本では、金利を上げることはできず、打つ手はない」と指摘。賃金を上げて、景気の好循環を生み出すことが求められています。