中国への対抗姿勢鮮明 G7首脳宣言を採択
イギリスで開かれているG7(=主要7か国)首脳会議は先ほど閉幕し、「台湾海峡の平和と安定の重要性」を盛り込んだ首脳宣言を採択しました。古谷朋大記者が、現地から中継で伝えます。
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覇権主義的な行動を強める中国への対応が最大の焦点でしたが、首脳宣言では、幅広い分野で中国への対抗姿勢を鮮明にしました。
首脳宣言では台湾情勢について、「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、両岸関係の平和的解決を促す」と明記されました。台湾問題がG7の首脳宣言に盛り込まれるのは初めてです。
また、中国が世界で展開する経済活動について、「公正で透明性のある運営を損なっている」と批判し、中国が進める巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗するため、途上国へのインフラ整備支援で連携する新たな構想を立ち上げることが盛り込まれました。
これに加え、中国によるワクチン外交に対抗すべく、世界各国に新型コロナウイルスのワクチン10億回分を、1年以内に提供することも約束しています。
新型ウイルスの起源について、WHO(=世界保健機関)による科学的で透明性のある再調査を求めることも盛り込まれました。
中国の人権問題については、新疆ウイグル自治区や香港などにおいて、「人権の尊重を求める」としましたが、「深い懸念」を表明した先月のG7外相会合での声明に比べ、批判のトーンが弱まっています。
慎重な対応を求めるイタリアやドイツの意見にも配慮したものとみられます。
一方、東京オリンピック・パラリンピックについては、「新型コロナウイルスの克服と世界的な団結の象徴として、安全に開催することへの支持」が盛り込まれました。
菅総理「東京大会をなんとしても成功させなければならない。そういう決意を新たにしました」
日本政府関係者は、東京オリンピックの書きぶりについて、「満額だ」と話していて、G7の支持をテコに、開催への機運を盛り上げたい考えです。
「アメリカ第一主義」のトランプ政権時には不和が目立ったG7ですが、協調路線のバイデン大統領にかわり、「対中国」などで結束をアピールできたようです。