国連事務総長「無視され深く失望」 米国務長官「非良心的だ」 露「穀物輸出」の合意停止
ロシアがウクライナの穀物を黒海から輸出する合意を停止すると発表しました。世界的な食糧危機への影響が懸念されています。
ウクライナの穀物を黒海を通じて輸出する合意は今月17日の期限をむかえるため、延長にむけた協議が続いていました。しかし、ロシアのぺスコフ大統領報道官は17日、「合意は効力を停止した」と述べ、延長を認めないと発表しました。
ロシアは、合意のなかにあったロシア産の食物や肥料への制裁緩和が実現していないとしていて、プーチン大統領も「ロシアの国益に関係する項目が実行されていない」と述べていました。ペスコフ報道官は、ロシアの要求が実現すれば合意に復帰するとしています。
合意停止で、ウクライナ産の穀物輸出が滞れば世界的な食糧危機が再燃する恐れもあり影響が懸念されています。合意停止を受け、国連のグテーレス事務総長は、強い危機感を示しました。
国連・グテーレス事務総長
「私の提案が無視されたことに深く失望している。ロシアによる決定は困窮している人々に打撃を与えるだろう」
事務総長は、先週、プーチン大統領に書簡を送るなどして合意延長に向けた提案を伝えてきましたが、受け入れられなかった形です。事務総長は、世界の食料安全保障と食料価格の安定を推進するため、「解決への道筋を見出すことに専念する」としています。
一方、アメリカのブリンケン国務長官は17日、合意停止について「非良心的だ」と非難した上で、一刻も早く合意を復活させるよう求めました。
また、ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は、ロシア政府に決定を覆すよう要請するとした上で、ロシアとウクライナの穀物を世界に供給できるよう、引き続き他の国と協力していく考えを示しました。