経済活動の回復進むアメリカで「人手不足」
ワクチン接種が進み、アメリカでは感染拡大前の生活を取り戻しつつあります。経済活動も回復する中、いま大きな課題になっているのが「人手不足」です。
◇
アメリカ・バージニア州。
私たちが訪れたのは、長い夏休みを利用して子どもたちにさまざまな体験や学習を提供するサマーキャンプ。1年以上、自宅でのオンライン学習が続いた子どもたち。元気いっぱいに遊び回ります。
「今年の夏は本当に楽しいわ」
しかし、今年のキャンプにはある異変が。専門的な知識を持つスタッフが例年の半分ほどしか集まっていないのです。その理由は…
キャンプの責任者
「先生たちも、ゆっくり休みたいと思っているんです」
先生たちの「コロナ疲れ」。さらに、アメリカ全体でも入国制限の影響で、海外から働きに来る留学生などの短期労働者およそ2万5000人の確保が見込めず、スタッフ不足の原因になっています。
4日、独立記念日を迎えたアメリカ。
アメリカ バイデン大統領
「自信を持って言える。アメリカは戻ってきた!」
経済活動が急速に再開する中で進む人手不足。より深刻な状況に陥っているのがリゾートです。
バイデン大統領の別荘があることでも知られるデラウェア州・リホボスビーチ。
記者
「こちらのお店、求人募集中と看板が出ています。隣のお店も立て看板で求人募集中と出ています」
中には「契約するだけで1000ドル」、およそ10万円を支払うという店までありました。
人気のフライドポテト店も、長時間働く海外からの留学生などのスタッフが足りず、この夏は一部店舗を閉めたままにしています。
店のオーナー
「5月末以降、求人への応募は2人だけです。一気に忙しくなったので調理が追いついていません」
子どもたちに人気の遊園地でも…
遊園地の責任者
「アトラクションをいくつか止めなければいけないかもしれません」
街では幅広い業種で人手が不足。給料を上げても効果はなく、就職相談会にも、例年の1割ほどしか人が集まらなかったといいます。
なぜ、求人に応募がないのか?原因として指摘されるのが、現在コロナ対策で上乗せされている「失業給付」です。
リホボスビーチ商工会 エバーハート会長
「失業者は政府から十分な給付をもらっているので、仕事を得ようとしないのです」
さらに、テレワークが続いたことなどの影響で「働き方」の意識に変化も…
大手求人情報会社が仕事を探している人を対象に行った調査でも、「急いで探している」と答えた人は、わずか10%ほど。より自分に合った働き方ができる仕事を見極めているとみられます。
アメリカはこの新たな課題をどのように乗り越えるのでしょうか。