韓国・与党候補ウクライナ侵攻「初心者の政治家がロシアを刺激」 野党候補も日本発言で論争に 大統領選挙
来週に迫った韓国の大統領選挙を前に、与党の李在明(イ・ジェミョン)候補がロシアに侵攻されているウクライナについて「初心者の政治家がロシアを刺激した」などと発言したことをめぐり最大野党の尹錫悦(ユン・ソギョル)候補が強く批判するなど論争が続いています。両候補の支持は拮抗(きっこう)し、大混戦の様相です。
●李候補 ウクライナ侵攻「初心者の政治家が大統領になり、ロシアを刺激」
25日に行われた韓国大統領選挙のテレビ討論で与党「共に民主党」の李在明候補は、ロシアに侵攻されているウクライナについて次のように述べました。
「初心者の政治家が大統領になり、NATO(北大西洋条約機構)が加入させようとしないのに加入を公言し、ロシアを刺激したせいで結局衝突した」李候補は、「ロシアが主権と領土を侵した行為は、非難を受けて当然で、強く糾弾すべき」とも主張しましたが、釈明に追われています。
翌26日に李候補は自身のSNSで、「ウクライナの大統領をさげすんだものではなく、尹錫悦候補の不安な外交・安保思想を指摘したもの。ウクライナ国民の皆さんを誤解させたなら、私の表現力が足りなかった」と説明しました。
一方、尹候補はその後の演説などで、李候補の発言について「侵略された側を非難する衝撃的な認識」、「外国の指導者を選挙戦に持ち出し、侮辱する人がまともな外交・安保政策をできるのか」と批判し、論争が続いています。
●尹候補も日本めぐる発言で議論に日本が「有事の際に入ってくるかも…」
ただ、同じ日のテレビ討論では、最大野党「国民の力」の尹錫悦候補も、自身の発言によって別の議論も起きています。
他の候補者「有事の際、朝鮮半島に日本が介入するのを許容するか?」
尹候補「韓米日同盟があり、有事の際に(日本が)入ってくるかもしれないが、それを前提とする同盟ではない」
与党の李候補側は、これが“有事の際、朝鮮半島に日本が介入する可能性”に言及したものだとして、批判。
李候補は遊説中の演説で、「まもなく3・1節(独立運動記念日)なのに、日本軍に朝鮮半島進出を許容できるのか」などと主張しました。
これに対して、尹候補の陣営は、「北朝鮮のミサイル脅威に対処するために日米韓協力を強化しなければならないとの立場だが、これをあたかも日本の自衛隊が朝鮮半島に進駐することのように歪曲(わいきょく)した」「李陣営は、再び反日扇動を持ち出した」などと反発しています。
●野党候補の一本化も不調 支持は拮抗のまま大混戦
大統領選挙では、最大野党の尹錫悦候補と、3番手の中道系野党「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)候補の一本化が焦点になっているものの、今のところ見通しは立っていません。
27日、尹候補は記者会見で一本化の交渉が“決裂”したと明らかにしました。
ただ、尹候補は「いつでも直接会って話し合いたい」として、引き続き安候補に交渉を呼びかけました。
一本化をめぐっては、13日に安候補が提案したものの、世論調査による方式を尹候補側が受け入れず、20日に安候補が撤回を表明していました。
最新の複数の世論調査でも、李候補と尹候補の支持率はほぼ拮抗していて、投開票が来週9日に迫る中でも、結果がまったく見通せない大混戦が続いています。
≪世論調査①≫
・与党 李在明候補39.8%
・野党 尹錫悦候補39.8%
・野党 安哲秀候補 8.2%
(2月27日、韓国・KBS)
≪世論調査②≫
・与党 李在明候補39.5%
・野党 尹錫悦候補42.0%
・野党 安哲秀候補 8.6%
(2月28日、韓国・リアルメーター)