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ロシアの自作自演説…専門家「疑問点が多い」 大統領府の発表に“怒りが見える” 無人機攻撃…誰が?

2023年5月5日 0:51

モスクワ中心部にあるロシア大統領府「クレムリン」で3日に起きた無人機によるとされる攻撃について、今、「ロシア自作自演説」や「ウクライナ攻撃説」など様々な説が浮上しています。専門家によると、こうした説には疑問点があるといいます。

■米報道官「ロシアは偽旗作戦を行ってきた歴史」

有働由美子キャスター
「3日、無人機がロシアの首都モスクワ中心部にあるロシア大統領府『クレムリン』上空で爆発したとみられる瞬間を捉えた映像が公開され、世界に衝撃が走りました。ロシア側は『ウクライナによるテロ未遂事件』だと主張。一方、ウクライナ側は完全に否定しています。では、一体誰が実行したのかという話になりますが、今、様々な説が浮上しています」

小栗泉・日本テレビ解説委員
「まず、ロシアによる『自作自演』説です。“この攻撃をきっかけにさらなる動員をしようとしている”というものです。アメリカの『戦争研究所』が映像を分析すると、クレムリンの上空は探知システムなどがあるのにもかかわらず、それを無人機がくぐり抜けて爆発している。さらにそんな劇的な瞬間がばっちり映像に捉えられているのは『極めてありそうもない』として、自作自演の可能性があるとしているんです」

「また、ホワイトハウスの報道官も『ロシアには偽旗作戦を行ってきた歴史がある』と指摘。ロシア側の主張をうのみにせず、事実関係を慎重に見極める姿勢を強調しています」

■ロシアの発表は12時間後…大々的な周知せず

小栗解説委員
「ただ、『自作自演にしては、疑問点が多い』としているのが、慶應義塾大学の鶴岡路人准教授です」

「まず、ロシアの大統領府が『攻撃があった』と発表したのは12時間後。さらに、一面トップで報じたメディアも1紙のみでした。もしも、自作自演であるならば、大々的に周知すればいいのに『なんだか、おかしい…』ということです。そしてロシア大統領府は、『プーチン大統領の命を狙った』と目的にまで踏み込んで発表したんですが、こうした発表の仕方は『今までに無いことで、ロシア側の怒りが見える』と指摘しているんです」

有働キャスター
「ロシアの自作自演でなければ、やはりウクライナが攻撃した可能性が出てくるのでしょうか?」

小栗解説委員
「鶴岡さんはその点に関しても否定的です。もしそんなことをしたら、首都キーウの中心部にあるクレムリンと同等の施設が報復措置として狙われるリスクがあるといいます。そして、アメリカを含めたNATOの支援を引き続き受けるためにも、ロシアへの攻撃はしない方が得策だということです」

■“首謀者”答えは出ない? 「行動に注視を…」

有働キャスター
「ロシアでもウクライナでもないとしたら、一体誰が実行したのでしょうか?」

小栗解説委員
「そこで浮上するのが、どちらの政府にも属していない組織です。例えば、“ロシア側の反政府勢力”や、“ウクライナ側のゲリラ勢力”による仕業という可能性も捨てきれない、と鶴岡准教授は話します。いずれにしても誰がやったのか『その答えが出ることはないだろう』とみていて、今分かっているのは、ロシアが“何らかのアクションを取らざるを得ない立場にいる”ことだといいます。どんな行動を取るのか注視していく必要があるということでした」

有働キャスター
「廣瀬さんは、これについてどう思いますか?」

廣瀬俊朗・元ラグビー日本代表キャプテン(「news zero」パートナー)
「まずは今後、ウクライナでロシアによる攻撃が激しくならないか心配だと思いました。状況としては、ロシアが焦っているように見えたので、今後、ロシア国内のバランスがさらに崩れてきて戦争終結につながってほしいなと思いますね」

有働キャスター
「戦争中の情報というのは、事実がどこにあるのか見極め難いですが、いずれにせよこれを受けてロシアがどんな報復に出るのか…。非常に緊迫した雰囲気のまま、今月9日に戦勝記念日を迎えます」

(5月4日放送『news zero』より)