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「試合前に殺害予告」インドネシア・サッカー暴動 日本人選手が語る、過激なサポーターの実態とは

2022年10月3日 17:54
「試合前に殺害予告」インドネシア・サッカー暴動 日本人選手が語る、過激なサポーターの実態とは
丸川選手へのインタビュー

インドネシアのサッカー場で“因縁”のダービーマッチの末、暴動が発生。125人が死亡した。同じ東ジャワ州が拠点のペルセバヤとアレマのサポーターをめぐっては、以前からトラブルが相次いでいたという。「試合前に殺害予告が届いた」ペルセバヤでプレーした日本人選手が語る、一部の過激なサポーターの実態とは。

■“特別な試合”を前に、殺害予告が届く

去年6月から今年4月まで、インドネシアのプロサッカーチーム・ペルセバヤに所属していた丸川太誠選手(現在はPSISスマラン所属)

今回、暴動が発生したペルセバヤとアレマのダービーマッチを昨シーズン中に経験し“特別な試合だった”と振り返る。

『ペルセバヤのサポーターからは、絶対負けられないからなと毎日のようにメッセージが届く。負けられないプレッシャーが本当にすごい。

その一方で、対戦相手のアレマのサポーターからは、試合前に殺害予告が届いたこともある。ホテルを出たら命はないからなというメッセージが届き、ぞっとした。去年は調子がよくて点を決めることも多かったので、そういう選手に向けてメッセージを送っていたのではないか』

■監督の家やサッカースクールが襲撃されたことも

一部に、過激なサポーターがいると指摘する丸川選手。

『昨シーズン中には、アレマと2回対戦した。1試合目は引き分けだったが、2試合目はペルセバヤが勝った。すると、ペルセバヤの監督の家やサッカースクールが、アレマのサポーターに襲撃され、落書きされたり、ものが壊されたりした』

『選手や監督が試合会場に向かう際、以前は普通のバスで移動していたが、ものが投げつけられて、バスが破壊される事件があった。そのため、今では、窓もない護送車みたいな車でスタジアム入りしている』

『今回のようなダービー戦でなくても、銃などを持った警察官がけっこう会場にいる。バスで会場入りするときも、その前後には警察のパトカーがいるなど、警備はいつも厳重』

■“サッカーに熱い国”で熱量が爆発した

インドネシアにおいてサッカーは、バドミントンと並ぶ国民的スポーツだという。丸川選手は、サポーターの熱狂ぶりに、複雑な心境を明かした。

『サポーターがいきすぎた行動をとることはある。ファン同士でいざこざになったり、塀から落ちて救急車を呼ぶようなこともあった。昨シーズンは無観客での開催が続いたので、今回の試合では、熱量が爆発してしまった一面もあると思う。警察の側も、特別な一戦ということで、対応が厳しくなりすぎたのではないか』

『インドネシアは、日本では考えられないくらいサッカーに対して熱い国。それもあって、この国でプレーすることを選んだ。熱狂的なサポーターがいることは、サッカー選手にとっては、とてもうれしいことだが、熱狂的なことがいいという風潮がいきすぎているかもしれない。今回の暴動で、サッカーを愛してくれていた人たちが大勢亡くなり、とても悲しい』