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中国で日本の食品を“放射線測定器”で調べる?ネット投稿 「処理水」放出をめぐり中国国内で広がる波紋

2023年8月16日 23:01
中国で日本の食品を“放射線測定器”で調べる?ネット投稿 「処理水」放出をめぐり中国国内で広がる波紋

中国・福建省の港には、数百隻の漁船が集まっていました。大海原に響き渡る太鼓と爆竹の音をスタートの合図に出港していきます。16日、東シナ海での漁が解禁されたのです。

沖縄県の尖閣諸島や台湾海峡周辺を含むこの海域、“政治的に敏感な海域”に近づかないよう中国当局からは“お達し”が出ています。

福建省の漁師たちに聞いてみると――。

漁師
「魚はいっぱいいるけど、台湾海峡には度胸がある人しかいけない」
「漁船は行くところがない。どこで漁ができるというのか」

漁師たちからは不満がにじみますが、その一方でこんな期待をする人もいました。

漁師
「漁獲量が多くなり、(魚の)値段が高くなるのを期待している」

いま、中国の一部地域では、日本料理店などが仕入れる高級魚を中心に、中国産の魚が高騰し、高いものだと3割近く値上がりしているというのです。

その背景にあるのが、福島第一原発に保管されている処理水の放出計画です。日本政府は、放射性物質「トリチウム」などの濃度を環境基準値よりも大幅に薄めたうえで、今月下旬にも海に放出することを検討しています。

この動きに、中国政府が強く反発し、日本の水産物を対象に“全面的な放射線検査”を開始したのです。このため手続きに時間がかかり、鮮度が重視される水産物の輸入は事実上ストップする事態となりました。

刺し身やおすしなど新鮮な海の幸が堪能できる福建省の日本食料理店では、これまでは使われる水産物の3分の1ほどが日本産だったといいますが、他の産地のものに変更を余儀なくされたといいます。

寿司小川 - omakase 料理人
「マグロとホタテはもともと日本産を使っていましたが、今は、マグロはスペイン産に、ホタテは中国産を使うようになりました」

寿司小川 - omakase 陳傑棟マネジャー
「日本料理が好きな中国人もいっぱい居る」
「両国がすぐに解決案を見つけると信じます」

     ◇

しかし、中国のSNS上では、日本の水産物に対し、不安をあおるような投稿が――。

中国SNSより
「ネットで “放射線測定器” を買いました」

日本の食品を“放射線測定器”で調べているのです。中国国営メディアなどは、こうした行為は「効果がない」と指摘していますが、影響が懸念されています。