金正恩総書記が地方選で投票 民主的な選挙をアピールか 軍事境界線で“新たな動き”も…
北朝鮮の国営メディアは、偵察衛星で27日もグアムのアメリカ軍基地を撮影し、金正恩総書記に報告したと報じました。こうした中、韓国との軍事境界線では再び緊張が高まりかねない動きが出ています。
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27日、北朝鮮の国営テレビは投票所の前で市民から大きな歓声を受ける金正恩総書記の姿を報じました。北朝鮮では26日、4年に1度の地方選挙が行われ、金総書記が投票所に足を運んだのです。
北朝鮮メディアによると、地方選挙の投票率は99.63%。金総書記が掲示板で候補者を確認する様子も報じられました。実は今回の選挙では北朝鮮で初めての試みがあったといいます。
これまで北朝鮮は1つの選挙区に1人が立候補し、市民が信任投票を行っていました。しかし今回は、事前に2人の候補者から1人に絞り込む予備選挙が行われたというのです。より民主的なプロセスを経ていることをアピールする狙いなのでしょうか。
受付で投票用紙を受け取った金総書記。部屋に用意された投票箱は「賛成」の緑の箱と「反対」の赤の箱の2つです。金総書記は「賛成」の投票箱に自らの票を投じました。
韓国統一省は、「民主的な選挙制度とは程遠いし、むしろ政権内部の統制力を強化する側面がある」と批判しています。
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こうした中、今月21日に北朝鮮が打ち上げを強行した軍事偵察衛星に関連し、新たな動きがありました。
27日、韓国国防省が写真を公開しました。北朝鮮が韓国との軍事境界線付近で監視所の再設置を始め、迷彩柄に塗装する様子が写っています。別の写真では兵器を運び込む様子が…。配備されたのは無反動砲と推定される重火器だということです。
軍事的な緊張を緩和する目的で韓国との間で結んでいた軍事合意を破棄する姿勢を示している北朝鮮。さらに軍事的な配備を進めていることを受け、韓国国防省は「対応措置を直ちに履行する準備を整える」と強調しています。
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また、アメリカに対する挑発も…。北朝鮮の国営メディアは、27日も偵察衛星がグアムにあるアメリカ軍基地を撮影し、金総書記が平壌にある管制所から報告を受けたと報じました。
また25日は、偵察衛星で、ソウルや釜山に寄港していたアメリカ軍の空母「カール・ビンソン」などを撮影したと伝えています。撮影された日時について、一部は秒単位で報じられていますが、韓国メディアは政府消息筋の話として「撮影時間が、韓国軍などが捕捉していた軌道データと一致している」と伝えました。
さらに北朝鮮側が撮影日時を伝えた背景について、軍当局者は「アメリカ軍の動きを隅々までのぞき見ることができるという脅迫だ」と話しているということです。
北朝鮮メディアによると、正式運用に向けた工程は1~2日ほど繰り上げられて進行していて、今後、衛星を使った偵察活動が本格的に行われるとみられます。