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【単独取材】ロシアによるウクライナの子どもの連れ去り 脱出した10代の少女らがアメリカで訴えた、連れ去りの実態

2023年8月6日 13:17
【単独取材】ロシアによるウクライナの子どもの連れ去り 脱出した10代の少女らがアメリカで訴えた、連れ去りの実態
ロシアによって連れ去られたナスチャ(左)とマーシャ(右)

ロシアが侵攻したウクライナの占領地から子どもを連れ去っているとされる問題。その数は2万人近くにのぼり、「ロシア化」教育も行われているという。連れ去り先から脱出した2人の少女が2023年7月末アメリカを訪問し、問題解決を訴えた。2人が語った連れ去りの実態とは。
(NNNワシントン支局・渡邊翔)

2023年7月末、ワシントンのアメリカ連邦議会で1本のドキュメンタリーが上映された。タイトルは「ロシア人からの脱出」。ナスチャ(取材時19歳)とマーシャ(同17歳)、2人のウクライナ人の少女が、ロシア側に連れ去られ、その後脱出してウクライナに帰還するまでを描いた作品だ。ウクライナ政府は、ロシア側がこれまでに2万人近くの子どもをウクライナの占領地から連れ去っているとしていて、侵攻に伴う大きな問題のひとつとなっている。

このドキュメンタリーで特徴的なのが、2人が「連れ去り」の間、随所でスマートフォンを使って映像を撮影していたことだ。InstagramなどのSNSに投稿された映像、さらに救出に関わったジャーナリストらの勧めによって2人が撮影していた映像から、連れ去られた先で彼女たちがどのような扱いを受けたのかが明らかになっている。2人へのインタビューやドキュメンタリーを制作したウクライナメディア「Slidstvo.info」の取材によると、経緯は以下の通りだ。

■「2週間の旅行」と偽りクリミアへ ヘルソン解放でも帰れず

ロシアによる侵攻が始まった当時、南部の都市ヘルソンに住んでいたナスチャとマーシャ。ヘルソンは侵攻直後にロシア軍に占領された。2022年10月の初め、在籍していた学校の教師が2人を含む学生たちに、「クリミア地方への2週間の休暇旅行」を提案したという。すでに成人年齢の18歳になっていたナスチャの年齢は17歳ということに偽られ、未成年の扱いになったという。そして2022年10月8日、7歳から18歳までの300人以上が十数台のバスに乗り込みヘルソンを出発。ナスチャとマーシャは、クリミアのエフパトリアという町の施設に到着した。

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