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「性被害」から40年…癒えない心の傷 告白後も苦悩「権力者に抹殺される…」 ジャニーズ性加害問題【バンキシャ!】

2023年8月7日 11:56
「性被害」から40年…癒えない心の傷 告白後も苦悩「権力者に抹殺される…」 ジャニーズ性加害問題【バンキシャ!】

ジャニー喜多川前社長の性加害問題。実態調査を行った国連の人権理事会は4日、「数百人が巻き込まれる深く憂慮すべき疑惑が明らかになった」と会見で述べた。バンキシャ!は、アイドルグループの元メンバーを取材。そのうちの一人は、国連の調査を評価した一方で、いまも心の傷にさいなまれ、薬を服用していることを明かした。(バンキシャ!)

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4日夜、バンキシャ!のカメラの前に姿を見せたのは、ジャニー喜多川前社長による性加害を訴える「ジャニーズ性加害問題 当事者の会」の平本淳也代表(57)と、そのメンバーたち。7人が集まっての懇親会では、今後に向けて決意を新たにしたという。

当事者の会・平本淳也代表
「改めてになりますが、手と手を取り合って『いくぞ、オー!』みたいな」

このおよそ5時間前の午後4時すぎ、メンバーたちは会議室に集まっていた。固唾(かたず)をのんで見守っていたのは、ジャニーズ事務所の性加害問題などを調査してきた国連人権理事会の専門家による会見だ。

国連人権理事会の専門家
「被害者との面談では、タレント数百人が性的搾取と虐待に巻き込まれるという深く憂慮すべき疑惑が明らかになりました」

メディアの責任については、「不祥事のもみ消しに加担したと伝えられている」と言及。さらに、「政府が主体となって被害者の実効的救済を確保する必要性がある」と指摘した。

当事者の会・石丸志門副代表(55)
「やったぞ、やったぞ」

平本代表と固い握手を交わしたのは、志賀泰伸さん(55)。アイドルグループ「忍者」の元メンバーだ。今、何を思うのか。一夜明け、バンキシャ!は改めて話を聞いた。

志賀泰伸さん(国連の会見について)
「しっかりとした調査と、しっかりしたジャッジが行われたのが第一印象でした。時代が流れ始めていると思っている」

志賀さんが初めて被害にあったのは15歳の時。その後も合宿所などで、30回以上にわたり行為を受け続けたという。40年近くがたってもなお、心の傷は癒えていないという。

志賀泰伸さん
「合宿所が昔あった原宿の街が(目に)映るだけでも、その時のことが鮮明によみがえる。そういうのはキツイですよね」

つきまとうトラウマ。志賀さんは、医師から処方されている薬のリストを見せてくれた。寝つきをよくする薬や、不安を和らげる薬が並ぶ。それでもこの問題への社会の関心を高めたいと、今年5月、被害に遭ったことを明かした。しかし、告白後、さらなる苦しみが志賀さんを襲った。

志賀泰伸さん
「『いまさら出てきて何が目的なの』『おまえ家族いるだろ』とか、『カネ目当てだろう』とか、すごかったですよね」

──(記者)どこに寄せられる?

志賀泰伸さん
「ネット上に書かれたりとか」

志賀泰伸さんは、誹謗(ひぼう)中傷が相次いだことなどで体調を崩し、医師と相談して薬の量を増やしたという。

志賀泰伸さん
「電気もつけず、閉じこもってずっといるような状態で」

──電気もつけず?

志賀泰伸さん
「真っ暗な中に1人でいる状態。告発したことで権力者によって抹殺されるんじゃないかとか、変な被害妄想というか、恐怖感でいろんなものが生まれちゃって」

1か月にわたって、家にこもる日々が続いたという。そんな志賀さんにとって、国連が示した見解は“大きな一歩”だったと話す。

志賀泰伸さん
「これからは弱い者が絶対攻撃されるようなことがあってはいけない社会だと思う。いま本当に変われるいいチャンスになってるんじゃないかなって」

一方のジャニーズ事務所は国連の会見を受け、次のようにコメントした。

ジャニーズ事務所(日本テレビの取材に対し)
「被害を申告されている方々と真摯(しんし)に向き合い、丁寧に対話を続けさせて頂きたい」

また、今月末ごろにも外部の専門家による「再発防止特別チーム」から提言を受け、その後、会見する予定だとしている。その「特別チーム」は現在、被害者へのヒアリングを進めているというが、どのような内容なのか。バンキシャ!が話を聞いたのは、元ジャニーズJr.の二本樹顕理さん(39)。「当事者の会」で唯一、「再発防止特別チーム」からヒアリングを受けたメンバーだ。先月、1時間半ほどかけてオンラインで実施されたという。

──誰にどのようなことを聞かれた?

二本樹顕理さん
「具体的な内容まではお答えできないんですけど、入所から退所に至るまでのいきさつとか、当時の被害状況について根掘り葉掘り聞かれたようなかたちです。合宿所の間取りとか聞かれました」

中には、不可解に感じた質問もあったという。

二本樹顕理さん
「今後、ジャニーズ事務所に対してどういう行動をとっていくつもりですかと聞かれた。それはこっちの動きを探ろうとしているのかなという印象にもとれるので、そうした質問はちょっと不可解にも感じますね」

二本樹さんは「再発防止特別チーム」に対して、被害者への救済措置についても事務所へ提言してほしいとしている。

(*8月6日放送『真相報道バンキシャ!』より)