ウクライナ東部で攻撃激化 “ロシア軍に制圧”された都市の状況は…ルハンシク州知事に聞く
ロシア軍の攻撃はウクライナ東部で激化し、ウクライナ側も徹底抗戦を続けています。東部ルハンシク州の知事によると、ロシア軍は、すべての戦線で砲撃を行っていて、避難所であっても危険な状況だといいます。ロシア軍に制圧されたルハンシク州の都市クレミンナの状況など、知事に話を聞きました。
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ウクライナ第2の都市ハルキウでは20日、ウクライナ軍の兵士がロケット砲を撃っていました。東部で激化するロシア軍の攻撃に対し、ウクライナ軍は徹底抗戦を続けています。
ドネツク州で19日に撮影された映像では、バスなどで避難する人たちの姿が見られました。地元警察の警察官はカメラに向かって、「寝たきりの人やケガ人などを警察やボランティアの人が、バスに乗せて移動させています」と説明していました。
避難する人
「周りが燃やされたり、壊されたりが毎日のようにありました。きのう、近所の家が1棟焼け落ち、ガス管が燃えました。私たちは地下から出られませんでした」
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「news zero」は、日本時間20日夜、東部ルハンシク州のセルギー・ガイダイ知事に話を聞くことができました。
セルギー・ガイダイ知事
「多くの市民がこの2か月間、電気やガス、水がありません。非常に困難な状況です」
ガイダイ知事が21日に公開したルハンシク州の様子を捉えた映像には、攻撃を受けた建物などが映っていました。ロシア軍はすべての戦線で砲撃を行っていて、避難所であっても危険な状況だといいます。
ガイダイ知事は、2週間ほど前に取材した時には、「このままでは街がなくなる」と訴えていました。その後、東部地方でロシア軍の大規模攻撃が開始され、ルハンシク州ではクレミンナが制圧されるなど、攻勢はさらに強まっています。
セルギー・ガイダイ知事
「攻撃の頻度が増えてきて、重大な攻撃が多く、激しくなってきています。2倍から3倍くらい攻撃が多くなりました」
制圧されたクレミンナの状況については――
セルギー・ガイダイ知事
「亡くなった人や負傷者もいます。この数日間、ロシア軍はクレミンナを無差別に砲撃しました。残念ながら破壊されている建物もあります。自分の車で逃げようとした人もいましたが、攻撃にあって亡くなったりもしています。クレミンナと近郊の村には、まだおよそ3500人います。今、避難するのは危ないです」
取り残された人たちのため、制圧される前に約2週間分の支援物資を送ることができたといいますが…。
――「2週間分」ということは、そのあとのことはわからない?
セルギー・ガイダイ知事
「予測するのは難しいです。なぜなら、全地域が包囲されている状態だからです」
――ルハンシク州には今、どれくらいの人が残っている?
セルギー・ガイダイ知事
「7万人くらいが残っています」
ルハンシク州全体でも、どれだけの市民が犠牲になっているか把握できていないと話します。
セルギー・ガイダイ知事
「亡くなった方の多くが、埋葬さえできない状況です。(プーチン大統領を)止めなければ、さらに侵攻するでしょう」
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ウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊のボロジャンカでは、民間人の虐殺があったとされる同じキーウ近郊のブチャよりも、さらに多くの犠牲者がいるとみられます。
日本時間21日午後、ボロジャンカには黒焦げになった集合住宅があり、建物があった場所はぽっかり空いた空間になっていました。建物はロシア軍の空爆で崩落し、41人が亡くなりました。建物の基礎部分には隙間があり、そこはシェルターになっていました。当時、多くの住民が避難していましたが、生き埋めになったといいます。
近くに住んでいる人は、次のように証言します。
ボロジャンカの住民
「83台くらい(ロシア軍の)装甲車がやってきました。 私の孫が、携帯で撮影しようと外へ飛び出したら、1人の兵士が銃撃してきましたが、幸い当たりませんでした」
その後も、攻撃は続いたといい…
ボロジャンカの住民
「30回から40回ぐらいです。地面にうつぶせになったり、蔵に隠れたりしました」
最後に「略奪行為も始まって…すべて奪われました」と語りました。
(4月21日放送『news zero』より)