ウクライナ“支援疲れ”もEU結束のワケ 「人命でコスト払っている」……政治家の声がカギ 米大統領も「世界で一番大きなメッセージ」
ウクライナ侵攻から間もなく1年。隣国への避難者は800万人を超え、ポーランドでは財政負担の重さから避難所を減らした都市もあります。長期化による支援疲れが指摘されますが、専門家によるとEUは結束できています。その背景にある政治家の言動とは?
有働由美子キャスター
「ウクライナ国内は今も厳しい生活が強いられています。UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)によると、ウクライナから近隣の国に避難している人の数は、15日時点で約807万人となっています。長引く侵攻で、支える側の『支援疲れ』という課題も出てきています」
「隣のポーランドへは今も、21日時点で約156万人が避難していて、財政負担に耐え切れず、5か所あった避難所を1か所に削減した都市もあるといいます」
「(アメリカの)バイデン大統領からは改めて結束の呼びかけがありましたが、欧米各国の姿勢や結束は今どうなのでしょうか?」
小栗泉・日本テレビ解説委員
「もちろん各国で温度差はありますし、厳しい状況にはなっています。ただそれでも、ヨーロッパ政治などに詳しい慶応義塾大学の鶴岡路人准教授は『EUの人たち自身が驚くほど結束できている』と分析しています」
有働キャスター
「その理由は何ですか?」
小栗委員
「鶴岡准教授は、『情』と『理』を政治家がきちんと支えていると言います。『情』は、ロシアが繰り返す破壊を目の当たりにして、ウクライナを支援しないわけにはいかないという気持ちです」
「『理』はロシアの侵攻を食い止めなければ、自分たちへの悪影響も大きくなるという損得勘定です。この2つを、政治家が正面切って発信しているとのことです」
「例えばNATOのストルテンベルグ事務総長が『我々にとってのコストはお金だが、ウクライナ人は日々人命でコストを支払っていることを忘れてはならない。我々は支援の負担に関する文句をすぐに止めて、支援を強化すべきだ』などと訴えています」
「20日のバイデン大統領のキーウ訪問も、油断したら緩んでしまう結束を、節目にきちんと引き締めた『世界で一番大きなメッセージだった』と鶴岡准教授は評価しています」
辻愛沙子・クリエイティブディレクター(「news zero」パートナー)
「1年前の侵攻開始の報道で世界中に激震が走って以来、リアルタイムで虐殺や爆撃の恐ろしさを、皆が改めて痛感しました」
「自分が生きている中で、『戦争反対』と改めて自分の意思を掲げる日が来るとは思っていなかった若い世代も、正直少なくないのではないかなと思います」
「それにもかかわらずだんだんと常態化してきて、意識を向ける機会が減ってきてはいないか、日本に住む我々も改めて、自分たちに問わないといけないなと思います」
有働キャスター
「リーダーたちを見ると、G7の首脳でキーウを訪問していないのは、日本の岸田首相だけになりました。今年は議長国でサミットも控えていますが、行くにしても行かないにしても、どう連帯の意思を示すのか、首相のリーダーシップと発信力が問われます」
(2月22日『news zero』より)