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イスラエル、レバノンで地上作戦 「せん滅させるまで」…エスカレート懸念 “全面戦争”なら原油高騰→日本の物価高に拍車?

2024年10月2日 10:10
イスラエル、レバノンで地上作戦 「せん滅させるまで」…エスカレート懸念 “全面戦争”なら原油高騰→日本の物価高に拍車?

中東の戦火が拡大し、緊迫の度合いが高まっています。イスラエル軍はレバノンで、イスラム教シーア派組織「ヒズボラ」の施設への地上作戦を開始。全面戦争にまでエスカレートがすることが懸念されています。これまでの経緯や日本への影響などを考えます。

■専門家「イスラエル側が周到に準備」

藤井貴彦キャスター
「専門家から『非常に危機的な状態』『これは始まりに過ぎない』という声が上がっています。日本時間の1日朝、中東のレバノン南部で、イスラエル軍がイスラム教シーア派組織『ヒズボラ』の施設に対し、地上作戦を始めたと発表しました」

「イスラエル側は、『限定的で局地的な作戦』で『正確な攻撃』を行っているとしています。連日のようにイスラエルとヒズボラの名前が出てきますが、どんどん攻撃がエスカレートしている感じがします」

小栗泉・日本テレビ解説委員長
「思い出していただきたいのが、約2週間前の9月17日、ヒズボラが使うポケベル約3000台が爆発し、多数の死傷者が出ました。さらに9月27日にはヒズボラの最高指導者ナスララ師と幹部が空爆で殺害されました」

「そして10月1日朝の地上作戦。ヒズボラに激しい攻勢をかけていますが、元外交官で中東情勢に詳しい中川浩一さん(日本国際問題研究所客員研究員)は『一連の流れはイスラエル側が周到に準備してきたもの』と言います」

■ハマス、ヒズボラ、イスラエルの関係

「国際社会はイスラエルに自制を求めてきましたが、なぜヒズボラをこのように執ように攻撃するのでしょうか?」

小栗委員長
「発端は約1年前にイスラム組織『ハマス』が音楽フェスなどを襲撃し、それに対する報復としてイスラエルがガザ侵攻を始めたことでした。これは、イスラエルのトップ・ネタニヤフ首相にとって自らの政治生命をかけた、絶対に譲れない戦いです」

「その戦いの中で、ヒズボラはハマスを支援し、イスラエルを攻撃してきました。ネタニヤフ首相はそんなヒズボラに対して容赦しない姿勢を見せていて、中川さんは『せん滅させるまで手段を選ばないだろう』と、さらなるエスカレートを心配しています」

■イスラエル本土への報復を行えば…?

藤井キャスター
「エスカレートを止める人は誰かいないのでしょうか?」

小栗委員長
「見当たらない状況です。イスラエルの後ろ盾である大国・アメリカはヒズボラの最高指導者殺害について『正当な措置だ』『イスラエルの自衛権を全面的に支持する』としています。こうなると鍵を握るのは、イスラエルと対立してきた中東の大国・イランです」

「中川さんによるとここまでは抑制的な動きですが、長年ヒズボラを支援してきた存在です。もしイランが一緒になってイスラエル本土への報復を行えば、全面戦争に突入する危険性まで考慮しなければならない、としています」

■日本は原油の9割超を中東に依存

藤井キャスター
「中東で起きていることなので、日本から少し距離はありますが、全面戦争になった場合、日本への影響はどんなものが考えられるのでしょうか?」

「日本は今年8月現在、エネルギーの中心となっている原油の94.8%(速報値)を中東に依存しています。もし中東で全面的な戦争が起きるようなことになれば、原油は高騰し、日本の物価高にさらなる拍車がかかることも予想されます」

「例えば日本は歴史的にイランと友好関係にあるので、中川さんは『首脳レベルで湾岸諸国と“有事になっても頼みますよ”という関係を平時から作っておくことが大切だ』と指摘しています」

長濱ねるさん(俳優・『news zero』火曜パートナー)
「罪のない人々が傷ついていることを忘れてはならないなと思います。今はSNSなどで現地の状況を知ることができますし、私自身もガザ地区で子どもを抱えて助けを求める父親の映像などを見たことがあります」

「戦争という漠然とした言葉で包むのではなく、現地から出ているSOSをしっかり私たちが広めて受け止めて、情報を追い続けていくことが大切かなと感じました」

(10月1日『news zero』より)

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