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【警鐘】買い控えや身体機能の低下で“低栄養シニア”が増加!?予防・改善の合言葉『さ・あ・に・ぎ・や・か・(に)・い・た・だ・く!』で専門家が推奨する理想の食事とは?

2024年11月20日 8:00
【警鐘】買い控えや身体機能の低下で“低栄養シニア”が増加!?予防・改善の合言葉『さ・あ・に・ぎ・や・か・(に)・い・た・だ・く!』で専門家が推奨する理想の食事とは?
“低栄養シニア”の予防・対策

 今、物価高による買い控えや、単身世帯の増加、身体機能の衰えなどで“低栄養シニア”の方が増えているといいます。毎日に必要な栄養素とは?予防・改善するための合言葉『さ・あ・に・ぎ・や・か・(に)・い・た・だ・く!』から考える理想の食事を紹介。管理栄養士・金子あきこさんの解説です。

■「高くて買えない」物価高による買い控えで“低栄養シニア”増加傾向に 増える単身世帯・病気や加齢による“食欲の減少”でさらに加速か…

 街中から健康志向の声が聞こえる一方で、今、問題視されているのが“低栄養シニア”です。“低栄養”とは、どのような状態なのでしょうか?

(管理栄養士・金子あきこさん)
「“低栄養シニア”は、きちんと栄養素が取れていない、食事が取れていない。低栄養の状態が続くと、高齢の方が外出を控え始めて、筋力が低下し始める。さらに外出控えで食が細くなって、どんどん低栄養の状態が進んでしまい悪循環になってしまう」

 国も警鐘を鳴らす“低栄養シニア”。その要因の一つとして考えられるのが、物価高による“買い控え”です。2024年7月に発表された国民生活基礎調査では、全世帯の59.6%が「生活が苦しい」と回答し、高齢者だけを見ても59%もいます。

 帝国データバンクによると、今年の値上げ品目が1万2000品目超ですが、すでに来年1000品目以上の値上げが予定されています。最低賃金の大幅引き上げなどで、さらに値上げ品目が増える恐れも。肉や野菜など、平年と比べて価格が上昇しています。60代の方は「買いたいものを買わずに我慢している」、80代の方からは「肉や魚を買いたいけど高くて買えない」という声もあります。

 さらに「低栄養シニア」が注視される背景には、高齢者ならではの事情も…。大阪市内に住む、現在一人暮らしの80代男性は、今、高齢者を中心に増えている単身世帯です。果たして一人でバランスの良い食事がとれているのでしょうか。この日の夕食のメニューは『少量の牛肉』に『蒸したじゃがいも』と『もやし』、そして『ご飯』を少しだけでした。

Q.ご飯の量は、何歳ごろから、このぐらいでよくなりましたか?
(80代男性)
「80ちょっと前くらいからかな。量が減り出したのは。健康診断行ったら『清水さん143㎝やで』と言われ、アホ言えや~俺は157㎝あるんやぞと言うと『いや、ありません』て、ウソやろって…骨粗しょう症で骨がぼろぼろになって、へこんでしまっている」

 骨粗しょう症で、外に出ることが以前より少なくなり、食事の量が減ってしまったという男性。

Q.ご飯と作ったおかずだけで満腹ですか?
(80代男性)
「ちょっとでは足らんなっていう感じがしたけど、今はこれで十分」

 こうした病気や加齢による“食欲の減少”も、“低栄養”を加速させる要因のひとつです。もしも“低栄養”状態が続くと『けがが治りにくくなる』『合併症の増加』『死亡率の増加』といったリスクが高まるという報告もあります。

■コンビニやスーパーの総菜をうまく利用して栄養バランスを整える!“低栄養”で懸念される悪循環…“噛む力”“飲み込む筋肉”“唾液”が大事

 2024年11月12日に国の研究所が発表した65歳以上の単身世帯は、2020年は13.2%でしたが、2050年には20.6%まで増えると言われています。

(金子さん)
「一人になると、調理を避けてインスタント食品ばかり食べがち。気付いたときには“低栄養”になっていることも」

Q.栄養のバランスを考えると、今は、スーパーのお総菜なども充実していますよね?
(総合内科専門医・おおたわ史絵氏)
「スーパーやコンビニの努力だなと思うんですが、おひとりさま用のメニューがすごく充実していて、新しいものがどんどん出てきている。栄養バランスや塩分のことも、かなり考えられているんです。後ろに書いてある詳細をよく見て買ってください、と患者さんにはよく説明しています。面倒くさいからと言って、毎回同じものになってしまう傾向にあるんですよ。だったら食べられそうなものを選ぶというのは、すごくいい作戦だと思います」

(金子さん)
「コンビニやスーパーのお総菜を利用するというのは、すごくいいと思います。ただ、上手に組み合わせるというのを、気をつけていただけたらと思います。野菜だけとか、お肉、お魚だけとか、炭水化物・ごはんなしではなく、ごはんも加えてバランスよく組み合わせていただけると、いいと思います」

 そして“低栄養”で懸念される悪循環についてですが、例えば、身体機能の衰えで“噛む力”が低下し、柔らかい炭水化物を好むようになります。そうすると消化吸収・機能の衰え、食欲低下につながります。さらに持病があると、体を動かせなくなり小食に。そうなると栄養のバランスが偏り、持病が悪化して体力が低下してしまうということなります。

Q.“噛む力”が大事だということですか?
(金子さん)
「飲み込む力も弱くなってきますので、“噛む力・飲み込む筋肉・唾液”というのはすごく大事です。高齢になってから食べづらいものを食べると、なかなか食べるのが億劫になってしまうので、若いときに噛めるものをしっかりよく噛んで食べる、唾液を出して噛む習慣をつけるといいと思います」

Q.糖尿病や高血圧の方だと、食事を抑えて栄養不足になって倒れるお年寄りも多いですよね?
(おおたわ氏)
「お年寄りで、自分の病気に合った食事を選ぶというのは、とても難しいと思います。だから、痩せていて低栄養な人がいるのは分かるんですが、実は医療の現場からいうと、太ってるのに低栄養な人は、無駄な食べ方をしている人なんです。必要なものを食べず、とにかく口当たりのいい、無駄なものだけで太ってしまっている低栄養な人というのが、結構隠れていて問題だなと思っています」

■低栄養の予防・改善の合言葉『さ・あ・に・ぎ・や・か・(に)・い・た・だ・く!』から考える必要な10品目の上手な取り方 専門家推奨の理想の食事とは?

  “低栄養”になりやすい人は、『1日3食食べていない』『半年で体重が2~3㎏減った』『半年前に比べて硬いものが食べにくくなった』『お茶や汁物でむせることがある』の4つのうち、1つでも当てはまると、“低栄養”のリスクが高くなります。

 管理栄養士・金子さんによる低栄養の予防・改善の合言葉は『さ・あ・に・ぎ・や・か・(に)・い・た・だ・く!』だといいます。この言葉に当てはまる食材『さかな・あぶら・にく・ぎゅうにゅう(乳製品)・やさい・かいそう・いも・たまご・だいず・くだもの』この10品目を、1日3食の中で7品目以上取れることが理想です。

Q.なかなかハードルが高そうですが…。
(金子さん)
「少量でもかまわないので食べていただければと思います。意識するだけでも」

(おおたわ氏)
「3食の中に散らせばいいですよね。1食に全部盛り込もうとすると、とんでもないフルコースになるけれど、3回に分ければ、なんとかいけるのでは」

 そして専門家が推奨する理想の食事ですが、一人暮らしだと調理が大変なので、ありものでなるべくいけるように考えていただきました。朝食は『トースト(ハム+チーズ)・ヨーグルト・たまごスープ・バナナ』。昼食は『サバの塩焼き・冷ややっこ・ごはん・みそ汁(+冷凍野菜など)』。おやつは『焼き芋・牛乳』。夕食は『ハンバーグ・ツナサラダ・ごはん・リンゴ』です。これで10品目すべてが入ります。

Q.夕食は少し手間がかかりそうですが、あとは簡単にできそうですね。物価高で買えないという人はどうすればいいですか?

(金子さん)
「もちろん手作りできる方はしていただいて、それが一番、物価高に対応できるかと思いますが、コンビニやスーパーでも買えるものを選ばせていただきました」

 金子さんの合言葉『さ・あ・に・ぎ・や・か・(に)・い・た・だ・く!』を意識して食べていただき、うまくコンビニやスーパー、冷凍食品なども利用してもらいたいです。

(「情報ライブ ミヤネ屋」2024年11月14日放送)

最終更新日:2024年11月20日 10:32
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