“反プーチンの正午”に市民が行列「世界に存在示した」 プーチン氏圧勝もくすぶる不満
週末に行われたロシア大統領選挙で、プーチン大統領が圧勝しました。ただ、投票最終日には、反体制派の呼びかけに多くの市民が応じ長蛇の列をつくるなど、その足元では不満がくすぶっています。
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投票最終日の17日、ロシア反体制派がライブ配信で伝えたのは…
ロシア反体制派・番組司会者(ナワリヌイ陣営のYouTubeより)
「エカテリンブルクの投票所では、 行列がまだまだ続いています」
正午、投票所周辺に突如現れたのは、終わりが見えないほどの行列です。この行列は、極東シベリアや第2の都市サンクトペテルブルクにも現れ、首都モスクワでも見られました。
記者(ロシア・モスクワ、17日正午前)
「モスクワ大学近くの投票所に来ています。12時を前にして長い列が突然できました」
並んでいたのは、“反プーチンの正午”と名付けられた呼びかけに集まった有権者です。呼びかけたのは、先月急死した反体制派指導者、ナワリヌイ氏です。投票最終日の正午に投票所に行き、プーチン大統領に抗議を示そうと、生前に訴えていたのです。
ナワリヌイ氏の妻、ユリア氏も花を手にドイツの在外投票所に現れました。
ナワリヌイ氏の妻 ユリア氏(ドイツ・ベルリン、17日)
「もちろん、夫の名前を書きました」
参加者は当局の目を気にしたのか、私たちの質問には慎重に答えていました。
正午に投票に来た有権者(ロシア・モスクワ)
「たまたまこの時間に来ただけです」
――ナワリヌイ陣営の呼びかけと関係は?
正午に投票に来た有権者
「それはノーコメントです」
有力な対抗馬は事前に排除され、プーチン氏の圧勝が確実視されていた今回の大統領選挙。私たちの取材に応じてくれた男性が強調したのは、“反プーチンの正午”に参加する意義です。
モスクワ市民の有権者(ロシア・モスクワ、7日)
「必ず選挙に参加します。自分の意見を表明できる数少ない方法の1つだからです」
男性は、もともとは反戦を掲げた元下院議員ナジェージュジン氏を支持していました。しかし、立候補すらも認められず、投票用紙の欄外に手書きでナジェージュジン氏の名前を書き足すと話していました。
そして、迎えた投票日。
モスクワ市民の有権者(ロシア・モスクワ、17日正午頃)
「すぐ結果が出るとは思っていません。それでも全世界に(反プーチンを掲げる)私たちの存在を示したのです」
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選挙結果はプーチン大統領が約87%という過去最高の得票率を獲得。勝利を宣言しました。
ロシア プーチン大統領
「ロシア国民に感謝したい。我々は1つのチームだ」
さらに、反プーチンの抗議行動については、意に介しませんでした。
ロシア プーチン大統領
「効果はなかったと理解している」
一方、各国からは選挙結果に“批判”の声があがっています。
ウクライナ ゼレンスキー大統領(17日公開・大統領のSNSより)
「この選挙まがいの行為に正当性はないし、あるはずがない」
また、アメリカ政府も「選挙は自由でも公正でもないことは明らかだ」とコメントしています。
選挙不正の指摘もあがるなか、圧勝したプーチン大統領は次の任期に向けて着々と動き始めています。