モロッコで深夜に巨大地震 「息子がガレキに埋もれ…」2100人以上が死亡 耐震性低く…多くの建物が被害
北アフリカのモロッコで8日の深夜、マグニチュード6.8の地震が発生しました。ロイター通信によると、これまでに2100人以上が死亡し、約2500人がケガをしたということです。生死をわける“72時間の壁”まであとわずか。現在も懸命な救助活動が進められています。
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北アフリカのモロッコ・マラケシュで8日午後11時すぎ、地震発生直後の様子をカメラがとらえました。
にぎわいをみせる飲食店で次の瞬間、人々が一斉に走り始めます。多くの人が出口に殺到したため、“ドミノ倒し”のように転ぶ人の姿が…。結婚式が行われていた会場でも一気にパニックになり、通りは逃げ惑う人々であふれます。しかし、建物の“崩落”が発生し、男性が細い路地を走り過ぎた直後、建物が崩れ始める様子も見られました。
地震の規模を示すマグニチュードは6.8。「巨大地震」は人々が寝静まるころに起きました。
被災した人
「人々の叫び声が聞こえ、みんな家から出て行きました」
ロイター通信によると、これまでに2100人以上が死亡し、約2500人がケガをしたということです。建物にも多くの被害がでていて、家を失ったため人々は外で過ごすことを余儀なくされています。
被災した人(10日)
「援助はなく、熟睡することはできません。夜はとても寒いです」
毛布などを使い、寒さをしのいでいるといいます。
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特に被害が大きかったのが、震源地から70キロほど離れた「マラケシュ」の旧市街エリアです。12世紀に建てられたモスクなどが崩壊しました。なぜ、これだけ被害が拡大したのでしょうか?
地震が発生した当時、国際会議のため現地に滞在していた、防災に詳しい金沢大学の青木賢人准教授は「ブロックを積み重ねて、その間を粘土で固めているだけの構造。鉄筋も一切入っていないので、非常に耐震性に劣る構造物」と話します。
実際に、崩れ落ちた構造物を見てみると、レンガと一緒に間に粘土が挟まっていて、耐震性が低い構造だったことがわかります。
建物の崩落現場では9日、生き埋めになっていた住民がタンカで運び出される様子も。住民は救出され病院へ搬送されました。助かる命がある一方で、息子を亡くした人もいます。
息子を亡くした人
「私たちが夕食を食べている時に地震が起きました。息子は2メートルほどのガレキに埋もれてしまったのです」
被害の全容は明らかになっておらず、死傷者は今後さらに増える可能性があります。生死をわける“72時間の壁”まであとわずか。現地ではいまなお、懸命な救助活動が続けられています。