ベネチアの「危機遺産」登録見送り “軍艦島”は日本の対応を評価する決議 ユネスコ
ユネスコ(=国連教育科学文化機関)は、イタリアのベネチアについて、「危機遺産」への登録を見送りました。ただ、オーバーツーリズムなどをめぐってさらなる対策を求めています。
イタリアのベネチアは“水の都”として知られ、街全体が世界文化遺産に登録されていますが、オーバーツーリズムや気候変動への対策が不十分だなどとして、「危機遺産」への登録が勧告されていました。
ユネスコの世界遺産委員会は14日、保全状況について審議しましたが、ベネチア市が導入を決めた、日帰りの観光客から入場料を徴収する対策などを評価し、登録を見送りました。ただ、問題は残されているとして改めて懸念を示し、「さらなる進展が必要だ」と指摘しています。ベネチアは2021年にも、危機遺産への登録が勧告されましたが、登録は見送られました。
また、世界遺産委員会はこの日、軍艦島として知られる長崎県・端島炭坑などを含む「明治日本の産業革命遺産」についても審議しました。その結果、朝鮮半島出身者の労働をめぐる説明が不十分だとした2021年の決議から一転し、犠牲者を追悼するコーナーを新設するなどした日本の対応を評価する決議を採択しました。