処理水放出 “禁輸”に危機感……首相「ホタテをメニューに追加して」 3つの対応策とは? 「科学的根拠なき発信」中国に不信感
福島第一原発の処理水放出を巡る中国の反発に、日本政府が危機感と不信感を強めています。水産物の禁輸を受け、政府は国内消費の増加や加工体制の強化で対応しようとしています。中国首脳との会談実現も不透明になるなど、日中関係の冷え込みも懸念されます。
有働由美子キャスター
「水産物への打撃と中国国民に広がる日本批判、という2つの問題が大きくなってきています。この状況は何とかならないのでしょうか?」
小野高弘・日本テレビ解説委員
「日本政府もかなり危機感を持っています。政府関係者の1人は『今、岸田首相は処理水のことで頭がいっぱいだ。官邸の人員もそちらに割かれている感じだ』と言います」
「別の政府関係者は、さらに厳しい措置に出てくるかもしれないとして、『規制の対象は初めは水産品だったのが、加工品まで広がった。今後さらに拡大するのではないかと警戒している』と話しています」
有働キャスター
「日本全体の水産業に関わる問題になっていますが、政府はこれからどう対応しようとしているのでしょうか?」
小野委員
「国内消費を増やす、新たな輸出先を開拓する、加工体制を強化するという3つを考えています」
「具体的には、輸出できなくなった水産品を政府が300億円の基金を使って一時的に買い上げ、国内で例えば社員食堂や給食で使ってもらおうというものです。岸田首相自身、早速『水産業者の支援のためにホタテをメニューに追加して』と呼びかけています」
「また、今まで中国に輸出していた殻付きのホタテは行き場がなくなってしまいます。そのため殻を取る加工施設を日本で作り、その加工品を中国以外に輸出してみてはどうか、ということも考えています」
小野委員
「日本政府の中にも、中国政府に対する不信感が広がっています。外務省幹部は『投石や嫌がらせが起きているのは、中国政府が科学的根拠のない発信をするからだ。中国国民は火がついたらなかなか収まらない。中国政府に責任を持って対応してもらいたい』と言います」
「日本と中国、今年は平和友好条約締結45周年です。これを機に、岸田首相と李強首相(9月)、また習近平国家主席との会談も模索していましたが、これも不透明になっています」
有働キャスター
「27日の東京電力の調査によると、処理水を放出した福島第一原発から3キロ以内の海水のトリチウム濃度は、国際基準の1リットルあたり1万ベクレルに対し、6.1~6.8ベクレル未満でした。つまり、検出できないほど低い数値です」
「一部の中国の感情的な動きには私たちも冷静に対応したいですが、中国は自らを大国と主張するなら、それにふさわしく科学的なデータと根拠に基づいて、まずは日本との対話の場で真摯に冷静に向き合ってほしいです」
(8月28日『news zero』より)