「ロシア国民を守ると町を破壊した」マリウポリから避難した市民が語る“地獄”
ウクライナ東部各地で攻勢を強めるロシア軍は、近く準備を整え、大規模攻撃を仕掛けるとみられています。首都キーウ(キエフ)には住む街を追われた市民らが避難しています。今の思いと支援の実態を取材しました。
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19日、ウクライナ・キーウの中心部には、ロシア軍による攻撃が激化するウクライナ東部などから避難してきた人たちが集まっていました。その目的は、避難証明申請書です。申請をすることで支援物資などを受け取る事ができ、列に並ぶ人たちの中には、子供をつれた女性の姿もありました。
ロシア軍が包囲し、陥落間近のマリウポリから避難してきた家族に話を聞きました。
「家が壊された…家のために人生をかけて働いていたのに」
スマートフォンの中には、壁や窓が破壊された自宅や、荒れ果てた街の映像が残されていました。
マリウポリから避難してきた人
「マリウポリは完全にロシア語を話す町だ。ロシア国民を守るという理由で(ロシア軍は)その町を破壊した」
そして、一家の男性が語ったのは、街の悲惨な状況です。
マリウポリから避難してきた人
「私たちは地獄にいた。家の庭には(いくつもの)遺体があった。最初の2人は埋葬したが、危険なので、その後は埋葬もできなかった」
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そのウクライナ東部など、被害を受けた地域を支援するため、キーウで元々お弁当を作っていた場所では、栄養のある食事を毎日1500個ほど作っているといいます。
東部に食材を送るボランティア団体
「こっちはボルシチ。使い捨てのパックに分けています」
ただ、東部への輸送には危険が伴い困難だといいます。
東部に食材を送るボランティア団体
「戦闘エリアは普通の車では、輸送できません。だから、軍隊の人に送ってもらっています」
さらに、料理を作る間も気が抜けないといいます。
東部に食材を送るボランティア団体
「我々は空襲警報が鳴ると、ここに下りて待機してました」
ロシア軍がキーウ周辺に展開していた頃は、空襲警報が鳴ると地下のシェルターへ避難し、安全が確認できると調理を再開したということです。