「これが最後の言葉かも」タリバン高官との“強制結婚”に“性暴力” アフガン女子大生の告発に波紋広がる
先月末、アフガニスタンの女子大生が、タリバン高官との“強制結婚”や“性暴力”の事実を、地元メディアにビデオメッセージの形で告発した。彼女の告発動画はSNSで話題となり、名指しされたタリバン高官も釈明に追われるなど、波紋が広がっている。その告発の内容とは。
■「毎晩レイプされ、殴られた」女子大生の告発
動画の中で女性はエラハと名乗り、カブール大学の医学部に通っていると話した後、涙ながらにタリバン高官との強制結婚の事実や自らが受けた性暴力について告発した。
『わたしは去年の冬に、タリバン内務省の報道官(現広報部長)サイード・ホスティと強制的に結婚させられました。彼は毎晩のように私を殴り、レイプしました。もう全身が傷だらけです。パスポートとIDカードを取り上げられ、アパートに閉じ込められています。彼は私にお金をくれず、パンが買えるくらいの金額しかくれません。本当にひどい目にあっています。いつかは彼がいい人に変わるかもしれないと思って我慢していましたが、もうこの状況には耐えられません』
エラハさんによると、女性の権利を訴えるデモに関与したとして拘束された際に警察署を訪れていたタリバン高官に目をつけられ、強制的に結婚させられたという。
今月、タリバン高官のもとから逃げだし、パキスタンへ逃げようとしたというエラハさん。しかし、途中で拘束され、連れ戻されたと話した。
『カブールへ連れ戻される途中で、タリバンは私をひどく拷問し、殴りました。カブールの刑務所では、石打ちの刑にされそうになりました。サイードにも殴られ、彼の足にキスをするよう命じられ、そうしました。そしてまた、彼のもとに戻ることになりました』
そして、今の悲痛な心境を語った。
『これまで医者になるために頑張ってきましたが、もう自分の人生も夢も壊されました。このビデオが公開された後、私は殺されるかもしれません。これが私の最後の言葉かもしれないのです。ただ、毎日死にそうな思いをするよりも、一度死んでしまった方がいいかもしれません。この状況から私を救ってください。どうか私を助けてください』
エラハさんの衝撃の告白はSNSで話題となり、名指しされたタリバン高官は、その後、釈明を余儀なくされた。
『6か月前、私はエラハという女性と結婚しました。彼女の希望です。私は彼女をたたいたり殴ったりはしていません。彼女はコーラン(イスラム教の聖典)を侮辱するなど、イスラム教の信仰の問題がありました。私はそれを正そうとしましたが、うまくいかず、離婚を言い渡しました。私はこの結婚を失敗させたことを非常に残念に思っています。神が私を許してくださいますように』
タリバン高官はツイッターで、このように釈明し、結婚の事実は認めたものの暴力行為などは否定した。
エラハさんの告発動画は、いつどのように撮影されたのか不明だ。その後、タリバン高官への名誉毀損の疑いで逮捕されたという情報も出ているが、正確な状況も分かっていない。
人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は、9月1日、声明で「タリバンの役人が強制結婚やレイプ、暴行、脅迫行為を行っていたとしても、驚くことではない」とした上で、エラハさんの所在と健康状態について緊急に調査する必要があると訴えた。
SNS上では、ハッシュタグ「#JusticeForElaha(=エラハのために正義を)」が広がるなど、エラハさんの行方に関心が集まっている。