85歳のハマス解放人質…“誘拐時に棒で殴られた” ガザ南部での避難生活「汚れた水を飲んでいる」
今月7日から「ガザ地区」でイスラム組織ハマスに人質とされていた女性2人が、解放されました。そして、日本時間24日夕方に会見し、“誘拐された時に殴られた” などと当時の状況を明かしました。
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24日、私たちは、イスラム組織ハマスの拠点であり、「ガザ地区」から2キロに位置する、イスラエル・ニルアムへ向かいました。
橋本雅之 記者(イスラエル・ニルアム)
「多くのイスラエルの戦車が並んでいます。すでに、カバーがつけられていません。いつでも戦闘への準備ができていると、地上侵攻に向けて準備が整っているという状況」
そこには、数多くの戦車が集結していました。
さらに進むと、目の前に「ガザ地区」の街が見えてきました。
橋本雅之 記者(イスラエル・ニルアム)
「この先まっすぐ行くと見えるのが、『ガザ地区』です。今も多くの民間人が暮らしているんですが、先ほどからイスラエル軍による空爆が続けられています」
「かなり激しい音ですね。今まさに2キロないくらい先に『ガザ地区』があるんですが、今どんどん!と、非常に大きな空爆の音が連続して響いています」
イスラエル軍が取り囲む「ガザ地区」の内部では、連日、がれきの中から人を救助する、悲惨な光景が広がっています。
アラガさん
「悲惨な状況です。全てのものが攻撃の対象となる可能性があります」
こう話すのは、「ガザ地区」南部で避難生活を送るアラガさんです。アイルランドから、「ガザ地区」に住む親族の家を家族とともに訪れていたところ、ハマスとイスラエルの軍事衝突が発生したため、親族と一緒に南部に避難しているといいます。
アラガさんが、避難生活中に撮影した映像を見せてくれました。
アラガさん
「みんなのためにパンを買いました。これが、きょう唯一の食料です」
8歳の息子も、一緒に避難生活を送っています。
アラガさん
「おうちに帰りたい?」
息子(8)
「うん」
アラガさん
「先週土曜日に、なにが起きたか覚えてる?」
息子(8)
「6時くらいに爆撃が始まって、みんなが爆撃について話し始めたから、何かが起きていると思った。パン屋から帰ってきたあと、テレビで人がたくさん死んでるのを見たんだ」
終わりの見えない、避難生活――。
アラガさん(ガザ地区南部で避難生活)
「きれいな水がなく、私たちは汚れた水を飲んでいます。最悪の状況です」
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こうしたなか、ハマスが公開したのは、人質としている85歳と79歳、2人のイスラエル人女性の映像です。マスクをかぶったハマス戦闘員が、食べ物や飲み物を渡す様子が収められています。
ハマスは、この2人を健康上の理由から解放したと発表しました。
引き渡しの際には、人質となっていた女性の1人が、戦闘員と握手。ハマスはこうした映像を公開することで、“非人道的な対応はしていない”と、アピールする狙いがあるとみられます。
24日、解放された85歳の女性が娘とともに取材に応じ、当時の状況について語りました。
ハマスの人質にされていたイスラエル人(85)
「ハマスは私たちの家を撃ち、人々を襲いました。私と同じように、誘拐された人もいます」
娘
「母はオートバイに乗せられて…。そして彼らは、母を棒で殴ったそうです」
イスラエル軍によりますと、「ガザ地区」には、まだ220人の人質が残されています。
人質を巡っては「ウォールストリートジャーナル」が、ハマス側が支援物資に燃料を含めることなどを条件に、人質50人を解放することを提案したと報道しました。しかし、イスラエル側は、燃料が軍事目的で使用されることを懸念し、交渉はまとまらなかったということです。
(10月24日放送 『news zero』より)