シリア・アサド大統領、首都ダマスカスから離脱か 政府軍の司令部は政権崩壊を将校らに通知
内戦が続く中東シリアのアサド大統領が8日、首都ダマスカスから離脱したとロイター通信が伝えました。反政府勢力の攻勢を受け、シリア政府軍の司令部は政権の崩壊を将校らに通知したということです。
シリアの首都、ダマスカスで撮影された映像では、群衆が歓声を上げ、空に向かって祝砲を撃っています。
ロイター通信が複数のシリア軍高官の話として伝えたところによりますと、シリアのアサド大統領が8日、航空機で首都ダマスカスから離脱したということです。行き先は不明だとしています。
また、シリア軍の司令部は将校らに対し、政権の崩壊を通知したと伝えたということです。
さらに、アサド政権と対立する反政府勢力の一部は、すでにダマスカスに入り、郊外にある刑務所を制圧して囚人を解放したと主張しているということで、アサド政権の政府軍が展開している兆候は見られないとしています。
このわずか数時間前、反政府勢力は第3の都市で交通の要衝のホムスを制圧したと発表し、首都ダマスカスへの攻勢を強めていました。
シリアの首相は「国民に選ばれた新たな指導者と協力する用意がある」と述べる一方で、国家の機関は維持する必要性があると訴えました。
シリアでは、アサド大統領の父親が1970年に大統領に就任。2000年には息子であるアサド大統領に政権が引き継がれ、長年独裁体制が続いてきました。
2011年のいわゆる「アラブの春」で反政府勢力が蜂起して以降は、民主化を求める勢力やイスラム過激派組織が入り乱れて内戦が続き、死者は40万人を超えるとされ、多数の難民も生み出してきました。