アメリカ大統領選めぐる陰謀論 “テイラー・スウィフトが政府の秘密工作に関与”約2割が信じる 米世論調査
アメリカの大統領選挙をめぐり、世界的人気歌手、テイラー・スウィフトさんがバイデン大統領を再選させるための政府の秘密工作に関与しているとの「陰謀論」が広がっている。最新の世論調査では、アメリカの有権者のおよそ2割がこの陰謀論を信じていることが明らかになった。
アメリカのモンマス大学が、14日に公表した調査結果によると、2024年11月に行われる大統領選挙でバイデン大統領を再選させるための政府の秘密工作にテイラー・スウィフトさんが関与しているとの「陰謀論」について、アメリカ国民の18%が「信じている」と回答したという。調査は、2月8日から12日まで全米の18歳以上の成人、902人を対象に行われたものだ。「陰謀論を信じている」と回答した人の71%が、共和党支持者もしくは共和党寄りだという。
スウィフトさんは、NFL=アメリカンフットボールリーグの王者決定戦「スーパーボウル」で優勝したカンザスシティ・チーフスのトラビス・ケルシー選手と交際している。しかし、CNNによると、「スーパーボウル」を前に「2人の交際は政府によるでっち上げだ」とする根拠のない陰謀論がトランプ前大統領寄りのメディアによって拡散されたという。
スウィフトさんは、2020年の大統領選挙で、民主党のバイデン大統領を支持すると表明していた。ニューヨーク・タイムズは、バイデン陣営が、今回の大統領選でスウィフトさんを巻き込んだ選挙活動を展開する計画を練っていると報じた。陣営内では、冗談半分でバイデン氏をスウィフトさんのツアーに参加させる案も浮上しているという。こうした動きに対し、大統領への返り咲きを目指すトランプ前大統領も警戒を強めている。トランプ氏は「スーパーボウル」が行われた2月11日、自身のSNSにスウィフトさんについて投稿。大統領在任中に、スウィフトさんをはじめとしたアーティストのために音楽配信サービスでの著作権保護を強化する法整備を行ったと主張した上で「テイラーがバイデンを支持するはずがない」とけん制した。
トランプ前大統領の投稿(2024年2月11日)「私はテイラー・スウィフトをはじめとするすべての音楽アーティストのために、音楽近代化法に署名し、その責任を負った。ジョー・バイデンは、テイラーのために何もしなかったし、これからもしない。テイラーが我々の国の歴史上、最悪で最も腐敗した大統領であるペテン師、ジョー・バイデンを支持するはずがない。彼女に大金を稼がせた男(トランプ氏)に不誠実であるはずがない。それに私は彼女のボーイフレンドのトラビスが好きだ。たとえ彼がリベラル派であろうと。たぶん彼は私に我慢できないだろうけど!」
大統領選挙を11月に控えるアメリカでは、根拠のない様々な陰謀論が絶えない。4年前の大統領選をめぐっては「選挙で不正が行われた」との陰謀論を信じるトランプ支持者らが、米連邦議会議事堂を襲撃し民主主義の根幹を揺るがす事件に発展した。今回の選挙戦でも「陰謀論」が大きな影響を及ぼすものとみられている。