異例のアメリカ大統領選挙 多くの裁判を抱え選挙に臨むトランプ氏――今日は“何の”裁判?

アメリカ大統領選挙の野党・共和党の候補者選びで独走するトランプ前大統領。4つの刑事裁判以外にも数多くの裁判を抱えている。選挙の行方に大きな影響を与える“トランプ裁判”をまとめた。
■“トランプ裁判”が選挙に影響
今年11月に行われるアメリカ大統領選挙。野党・共和党の候補者選びで独走するトランプ氏は、大統領経験者として初めて起訴され、4つの事件、91の罪に問われている。
“裁判”と“選挙戦”が並行して進む異例の展開となっているが、実はトランプ氏の抱える裁判は4つの刑事裁判だけではない。ほかにも数多くの裁判を抱えているため、報道される“トランプ裁判”を見て混乱する方も多いだろう。
選挙戦に大きな影響を与える“トランプ裁判”をまとめてみよう。
■「最高裁」の2つ判断
トランプ氏をめぐる裁判では、大統領選の行方に影響を与える最高裁の2つの判断に注目が集まっている。
●【最高裁(1)】トランプ氏に立候補資格はあるのか?
そもそもトランプ氏に大統領選への立候補資格があるのか。連邦最高裁が立候補資格の有無を審理している。
アメリカの憲法には国家への「反乱」などに関わった場合、公職に就くことを禁じる規定がある。コロラド州の最高裁は2023年12月、トランプ氏が21年の議事堂占拠事件で「反乱」に関与したと認定し、憲法の規定を根拠に立候補を認めない判断を示した。トランプ氏は、これを不服として最高裁に上訴した。
メーン州もトランプ氏の立候補を認めない判断を示しているほか、多くの州で同様の訴訟が行われている。各州によって判断が分かれているため、最高裁の判断が各州にも影響を与えることになる。
●【最高裁(2)】大統領時代の行為は免責されるのか?
トランプ氏は、2020年の大統領選での敗北を覆そうとして起訴された事件をめぐり、大統領在任中の行為は刑事責任が免責されると主張している。ワシントンの連邦高裁は2月6日、トランプ氏の主張を退け、大統領在任中の行為について免責特権は適用されないと判断した。
トランプ氏側は「大統領を公務で訴追することは憲法違反だ」として最高裁に上訴している。これを受け、3月4日に予定されていた事件の初公判は免責特権に関する司法判断が確定していないため、延期された。トランプ氏は免責特権を主張することで、裁判の先送りを狙っている。