【特集】次の災害に備えるために…浸水被害があったにかほ市で住民の集い 広がる防災の輪 秋田県
去年7月の大雨の降り始めから、24日で半年です。
浸水の被害があったにかほ市では、次の災害に備えるために、住民などが話し合う集いを始めました。
参考にしたのは、おととしの大雨からの生活再建を進めている秋田市での取り組みです。
被害に遭った人も、そうでなかった人も、災害を身近なことととらえて、地域全体での防災を考えました。
今月19日に、にかほ市平沢琴浦地区で開かれた、防災サロン。
にかほ市や秋田市などで災害支援を行っている千葉菜津樹さんと、自治会長の小野一郎さんが準備してきました。
去年7月、大雨で、近くを流れる川が氾濫した、平沢琴浦地区。
周辺一帯が水に浸かり、住宅23棟が被害に遭いました。
大雨から半年のいまも、その爪痕が残っています。
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去年11月、この地区を千葉さんと秋田弁護士会が訪れて、にかほ市の担当の職員にある提案をしました。
千葉さん
「おじいちゃんおばあちゃんとか住民さんは、誰だか分からないけれど、いろんなNPOとかも来るから、なんかの支援の人なんでしょうね、ぐらいの感じでしゃべってるんですよね。気づいたら弁護士さんだったっていう感じで」
福祉相談員や市の担当者などが集まり、住民たちと、悩んでいることについて気軽に話し合う集いの場を開くことです。
おととしの大雨をきっかけに、秋田市でいまも続いているこの取り組み。
にかほ市も防災をテーマに開くことを決めました。
住民の防災意識を高めようと、平沢琴浦地区の自治会長の小野さんも提案を受け入れました。
小野さん
「被災して気が付いたこととか、あとは被災してないんだけども、あぁこうしないといけないんだとか、雨が降ったらこうしないととか、そういうふうなことを話し合う機会にしたいなと思って」
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迎えた当日。
平沢琴浦地区の約400世帯から、40人あまりが集まりました。
小野さんを含めて、去年の大雨による住宅への被害がなかった人が大半です。
それでも、いつ起きるか分からない災害に備えて、交流を通して正しい情報を身につけておくことが重要だと、千葉さんは呼びかけています。
千葉菜津樹さん
「ご相談いただく内容として一番多かったのが、どのタイミングでどうやってどこに逃げたらいいんですかっていうお話が一番多かったです。どのタイミングっていうのは明確です。避難指示です。避難指示が出たら絶対に逃げます」
「またこの地域が大雨で被害に遭うとしても、前回は被害に遭わなかった方が被害に遭うですとか、全壊被害に遭った方が残念ながらまた被害に遭ってしまうですとか、いろんな状況が考えられます」
集まった住民同士で、半年前の様子やこれからのことを話し合う場面も。
「これあど、海みたく」
「本当ですよね」
「これこれ、この車がだめになったの」
「出せなかったのよ、下の方に全部水入って」
自治会役員
「(呼びかけて)どこまでね、伝わるかっていうのはあるよね」
「高齢者が多いですから、家の周りもほぼほぼ高齢者なので、なんとすんだべなと思う、そうなった時に」
「個人情報とかね、分からないですもんね」
大雨がきっかけでできた、地域の集いの場。
いまだからこそ話せることもあります。
被災していない 山田静江さん
「被害があった人にいろいろ聞いてもいいのか、聞いてほしい人と、いまも話したんですけど、いろいろですからね。だからきょうのこの会はとってもありがたかったです」
被災していない 齋藤聡さん
「避難指示が出たら逃げるっていう、それに尽きます」
被災していない 斎藤孝行さん
「どこに逃げればいいのかっていうのが、みんななかなかこう自分で意識していないところが多いので、そういうのがやっぱり意識しないとやっぱり結局逃げられず、そのまま家に留まってっていう形になっちゃう感じがしますよね」
小野さんは、住民がより強くつながることで、孤立を防ぐだけでなく、地域の未来も守っていけるのではないかと考えています。
自治会長 小野一郎さん
「防災っていうのは、別に避難を含めて高齢者だけの話じゃないんでね。いろんな災害に関しては、若い人も子どもも関心を持っていただかないと」
「きょう来られている方の中でも、やっぱりある意味トラウマみたいになっている、そういう人もいます、だからこういう機会があって良かったと思います」
大雨から半年。
次の災害への備えを地域全体で考える、防災の輪が広がり始めています。