給食のリンゴを食べて重体になった園児、1年経っても意識不明 24時間看護する両親の葛藤 #ニュースその後
愛媛県新居浜市の保育園で、給食のリンゴを食べた男の子が意識不明の重体となった事故からあすで1年。
男の子は現在も意識が戻っておらず、家族が24時間体制で看護を続けています。
二度と同じことが起きないように。両親の思いを取材しました。
カメラに向かって、離乳食を食べる男の子。当時生後7カ月の康至くんです。
この日から1年1か月。康至くんは、自力で動くことも、声を出すこともできません。
両親:
「本当に今まで当たり前にしてきたことが全く当たり前ではない…」
一年前のあの日、康至くんと家族の生活は一変しました。
(去年5月20日 会見)
新居浜社会福祉事業協会 藤田康 理事長代理:
「大変申し訳なく思っております。この場を借りてお詫びさせていただきます。申し訳ありませんでした」
去年5月16日、「新居浜上部のぞみ保育園」でならし保育中だった康至くんが、給食のリンゴを食べた直後に呼吸困難となり、心肺停止の状態で病院に搬送されました。
両親:
「意識が戻らないですという話をされて、もう挿管もされていて呼吸器は付いている状態だったので、機械と一緒に呼吸しているという感じで」
入園して5日目に起きた出来事でした。
両親:
「僕ら夫婦は完全に180度、康至もですし、人生が変わったといっても二言ではないくらい生活感は変わった」
事故から2週間後、県と新居浜市が、保育園に当時の状況や管理体制などについて調査した結果、康至くんに提供していたのは長さおよそ7ミリ、厚さが3ミリの生のリンゴ。
国のガイドラインでは「リンゴは離乳食完了期までは加熱して提供する」と示されています。
両親:
「(入園時に)ドロドロしか食べていないですと話していたのに、それが園の中に浸透していなかった」
今年3月、新居浜市の第三者委員会は事故原因や再発防止についての報告書を市長に提出しました。その報告書には…
“0歳児に生の刻みリンゴが提供されていたことを園長や主任保育士は把握していなかった”
“意識がない場合は胸骨圧迫を行うという窒息事故発生時のマニュアル通りの対応ではなかった”
“離乳食の提供方法や誤嚥リスクの認識不足など複数の問題点が重なった結果、事故につながった”と結論付けました。