【全文】安倍氏国葬の“案内状修正”「事務作業の都合上のもの」 官房長官会見(9/14午後)
松野官房長官は14日午後の会見で、安倍元首相の国葬の案内状の返送投函期日に修正テープや手書きで修正がされていることなどについて理由を問われ、「事務作業の都合上のものと聞いている」と述べました。
<会見トピックス>
▽オミクロン株対応ワクチン
▽国防関係費
▽安倍元首相国葬
▽為替介入
▽通園バス置き去り
▽医療DX推進本部
▽天皇皇后両陛下の英国葬参列
▽中露首脳会談
▽食料危機
会見の概要は以下の通りです。
○松野官房長官
冒頭発言はございません。
――オミクロン株に対応するワクチンについて伺います。
厚労省はきょう、無料の公的接種に位置付けた上で来週から接種を始める方針を決めました。
このワクチンの有効性についての認識と岸田総理が掲げた1日100万回を超える接種体制をどう実現していく考えか伺います。
また5か月としている前回接種からの間隔の短縮の検討はいつごろまでにどう進めるのか、今月末が期限となっている自衛隊の大規模接種会場は期限を延長して活用する方針なのか併せて伺います。
○松野官房長官
オミクロン株に対応する2価ワクチンについては、本日、厚生労働省の審議会で審議され、従来型を上回る重症化予防効果が期待されるほか、感染予防効果や発症予防効果も期待されること。
また、今後の変異株に対しても有効である可能性が、より高いと期待されることを踏まえ、初回接種を完了した12歳以上の全ての方を対象に、前回の接種から少なくとも5か月以上の間隔をあけて1回接種する方針が了承されたものと承知をしています。
過去2年はいずれも年末年始に感染拡大の波が到来したことを踏まえ、若い方も含め、年末までに2価ワクチンの接種が完了するよう、自治体等に対し、接種体制の整備を依頼することとしています。
また、職域接種についてもこれまでと同様に実施する方向で調整をしているところであります。
こうした取り組みを通じて、1日100万回を超えるペースの体制を整備し、ワクチン接種を加速してまいりたいと考えております。
なお、接種間隔については、先日の厚生労働省の審議会において、海外の動向、有効性、安全性等の情報を踏まえ、5か月とされている接種間隔を短縮する方向で検討し、10月下旬までに結論を得ることとされたところであります。
これに基づき、専門家のご意見を伺いながら検討を進めていく考えであります。
また、自衛隊大規模接種会場の運営は、9月30日を期限としているところでありますが、オミクロン株に対応したワクチンの接種を実施するため、引き続き、運営する方向で防衛省において検討していると承知をしています。
運営要領の細部については近日中に防衛省から発表するものと承知をしております。
――国防関係費について伺う。
浜田防衛相はきのうの記者会見で、防衛費増額を巡り、海上保安庁などの予算を国防関係費として一体的に算定するNATO基準を参考にすることについて、「考え方としてそういった指標があるというのは悪いことでは無い」と述べ、一定の理解を示した。
一方で、海上保安庁法25条との兼ね合いで、専門家の中には海保の予算を防衛費に含めるのは適当ではないとの意見もある。
政府としてNATO基準に準拠した算定方法の導入の是非についてどう考えるか見解を。
○松野官房長官
防衛分野については、政府として、新たな国家安全保障戦略等を策定をし、予算を編成する過程において、必要となる防衛力強化の内容の検討、予算の規模の把握、財源の確保を一体的かつ強力に進めていく方針であります。
NATO定義は防衛省予算に限らず、国防に関わる予算を示すという意味で、参考になる指標の一つと考えていますが、いずれにせよ、防衛力強化のあり方については、具体的な予算の規模や財源と合わせ、今後の予算編成過程で検討していく考えであります。
その際、先般、総理からもご発言があったように、我が国として、経済力などを含めた国力としての防衛力を幅広くとらえ、総合的に検討することが重要と考えています。
――安倍元総理の国葬について。
案内状が民間人にも届き始めているが、招待基準について伺う。
選定については、例えば各省から選定し、内閣府で取りまとめるなどしているのか。
リスト作成の基準について可能な限り説明を。
また、先日の会見で送付先として挙げていた各界代表とはどういった基準で選定しているのか。
等というのはどういった方が含まれているのか。
例えばご遺族の意向や生前親交のあった方も含まれるのか。
○松野官房長官
安倍元総理の国葬儀について、案内状の送付先としては、現・元三権の長、現・元国会議員、海外の要人、立法・行政・司法関係者、地方公共団体代表、各界代表、ご遺族およびご遺族関係者、報道関係者との基準を設け、それぞれの分類ごとに、例えば、各界代表は各府省からの推薦を事務局で取りまとめるなどの作業を行った上で案内状をお送りをしています。
なお、詳細につきましては、国葬義事務局にお問い合わせいただきたいとおもいます。
――関連。
SNSなどには国葬の案内状の写真がアップされています。
返送の投函期日を修正テープが貼られて手書きで修正されており、速達郵便で送られているようです。
国葬の閣議決定は7月22日ですが、なぜこのような直前での作業になっているのでしょうか。
○松野官房長官
事務作業の都合上のものと聞いています。
先ほど申し上げましたけれども、詳細は国葬儀事務局にお問い合わせをいただきたいと思います。
――鈴木財務相はきょう、円相場の急落への対応で為替介入も含めて検討する考えを示しました。
実際に為替介入をする方向なのか、政府の考えを教えてください。
○松野官房長官
為替政策について、具体的にコメントすることは差し控えますが、為替相場はファンダメンタルズに沿って安定的に推移することが重要であり、急速な変動は望ましくないと考えています。
最近の為替市場では、投機的な動きを背景に、急速で一方的な動きがみられ、過度な変動を憂慮しています。
政府としては為替市場の動向を高い緊張感をもって注視するとともに、このような動きが継続する場合には、あらゆる措置を排除せず、為替市場において必要な対応をとりたいと考えています。
――静岡県の認定こども園でおきた通園バスの置き去り事件をめぐり、再発防止策として、政府が補助金を出し、全国の通園バスに安全装置を設置する方向で調整しているとの報道があります。
事実関係と、現在の調整状況を教えてください。
○松野官房長官
ご指摘の報道の内容について、政府として決まっていることはありません。
昨日申し上げました通り、静岡県牧之原市の認定こども園における大変痛ましい事故を踏まえ、先週9日に総理から小倉こども政策担当大臣に対し、政府として、子供の安全を守るための万全の対策を講じるため、送迎バスの安全装置改修支援などを含む、緊急対応策をとりまとめるよう指示があったところであります。
これを受け、小倉こども政策担当大臣を議長とする関係府省会議を立ち上げ、議論を開始しているところであり、10月上中旬に緊急対策を取りまとめる予定であると承知をしております。
――医療現場のデジタル化を推進するため、政府が10月にも岸田総理を本部長とする、医療デジタルトランスフォーメーション推進本部を発足させ、早ければ2026年に、基盤となる「全国医療情報プラットフォーム」の創設を目指すと一部報道があります。
スケジュールを含め、政府の現在の検討状況を教えてください。
○松野官房長官
国民の健康増進、質の高い医療の提供に向け、医療分野のデジタル化を推進をしていくことは重要であります。
今般の新型コロナウイルス感染症への取り組みを踏まえた喫緊の課題としても、平時からのデータ収集の迅速化や拡充、デジタル化による業務効率化やデータ共有を通じた見える化など、デジタル化の推進は急務であります。
こうしたことから、本年の骨太の方針において、総理を本部長とする、医療DX推進本部を新たに設置し、医療DXの推進に向けて、全国医療情報プラットフォームの創設をはじめとする、各種取り組みを進めることとされたところであります。
医療DX推進本部の設置時期については、現時点で予断をもってお答えすることはできませんが、速やかな設置に向けて、政府内において調整を進めています。
今後、推進本部のもとで全国医療情報プラットフォームの創設等の各種取り組みの具体化を進めていくものと承知をしています。
――為替対応について。
日銀が本日、市場参加者に為替相場の動向を照会するレートチェックを実施したとの報道があります。
政府が把握している事実関係をお願いします。
○松野官房長官
具体的なコメントは差し控えたいと思いますが、これまでも申し上げているように、政府としては、日本銀行と緊密に連携しつつ、高い緊張感をもって市場動向を注視をしています。
急速で一方的な動きが継続する場合には、あらゆる措置を排除せず為替市場において必要な対応をとりたいと考えています。
――あらゆる措置を排除しないと午前中の会見でもおっしゃったと思うが、あらゆる措置の中には為替介入も含まれるという理解でよろしいでしょうか。
○松野官房長官
先ほど申し上げた通りでございまして、具体的なコメントは差し控えさせていただきたいというふうに思いますけれども、あらゆる措置を排除せず、必要な対応を取る準備があるということでございます。
――長官は午前の会見で、天皇皇后両陛下がエリザベス女王の国葬に参加されることを発表しました。
戦後、陛下が皇族の葬儀を除いて国内や国外、海外で執り行われた国葬や合同葬に参列された例はあるのでしょうか。
また、安倍晋三元首相の国葬について、両陛下がご参列されるのか、あるいは使者を立てられるのか、宮内庁からどのような返答があったのか、伺います。
あわせて、安倍氏の国葬への参列が決まった皇族の方がいらっしゃれば教えてください。
○松野官房長官
天皇皇后両陛下が戦後、皇室の方の葬儀を除き、国内や海外で執り行われた葬儀にご参列になったのは、平成5年8月にベルギーのボードワン国王の国葬に、当時の天皇皇后両陛下がご参列になった一例のみであると承知をしています。
故安倍晋三国葬儀への皇室の方々のご対応については、先日公表した、故安倍晋三国葬儀の流れに記載されている通り、天皇皇后両陛下および上皇后両陛下には、お使いをご派遣になり、皇族殿下方はご参列になる方向で宮内庁において必要な調整、準備を進めていると聞いています。
ご参列となる皇族殿下方については調整中と聞いております。
――ロシア大統領府がプーチン大統領と中国の習近平国家主席との首脳会談が15日、ウズベキスタンで開かれると発表しました。
ウクライナへの軍事侵攻後、両首脳が対面で会談するのは初めてとなりますが、日本政府はこの動きをどう見ているのか。
特に中国に対して期待する役割などがあれば教えてください。
○松野官房長官
9月13日、ロシア大統領府はプーチン大統領が、上海協力機構首脳会議出席のため、ウズベキスタンを訪問する旨発表しており、また報道によれば、ロシア大統領府補佐官がプーチン大統領が習近平中国国家主席と15日に会談を行う旨発言したものと承知をしております。
第3国間の協議についてコメントすることは差し控えますが、両国の対外政策を含む、今後の動向については、我が国として、引き続き、関心を持って注視をしていきます。
その上で、中国に対しては、5月の日中外相テレビ会談においても、林外務大臣からロシアによるウクライナ侵略は明確な国連憲章違反であり、中国が国際の平和と安全の維持に責任ある役割を果たすよう求めたところであります。
引き続き、米国をはじめとする関係国と緊密に連携をしながら、中国に対しても、大国としての責任を果たしていくよう働き掛けていく考えであります。
――国連の世界食糧計画のフライシャー局長が NHK のインタビューで、来年は世界の人口を養うために十分な食べ物がない状況に陥る可能性があると述べて、危機的な状況は継続しているとの認識を示しました。
こうしたことを背景に、来年G7議長国となる日本に対して、食料危機を G 7 の主要な議題に据えるべきだと強調しております。
この問題に関する政府のご認識と、来年のG7の議長国としてこの問題にどう向き合うかお聞きします。
○松野官房長官
ご指摘のフライシャーWFP局長の発言については承知をしております。
ロシアのウクライナ侵略によって引き起こされた食料危機は、国際社会が取り組むべき喫緊の課題であります。
現下の世界的な食料供給不安や食料価格高騰などの現状は、人々の生活を脅かしています。
日本はこれまで現下の食料危機の影響を受けている国々に対する食料支援やウクライナでの農業生産回復支援などの支援を行ってきました。
6月のG7エルマウ・サミットでは、食料危機への対応として約2億ドルの支援を新たに表明し、実施しています。
G7広島サミットの議題については、現在、政府内で検討中でありますが、来年G7議長国を務める我が国としては、G7をはじめとする各国と緊密に連携し、食料危機に対応していきたいと考えております。