【全文】国葬参列者 “単純比較”なら「過去9番目」官房長官会見(9/28午後)
松野官房長官は、28日午後の会見で、安倍元首相国葬の参列者数について、コロナ禍で単純に過去の葬儀と比較するのは難しいとの認識を示した上で、「記録集に掲載された人数を単純に比較する限り、今回は過去9番目だ」と明らかにしました。
<会見トピックス>
▽中国・エジプト要人の松野長官表敬
▽日中国交正常化50年
▽弔問外交
▽安倍元首相国葬
▽新型コロナ全数把握簡略化
▽非常時ローミング導入
会見の概要は以下の通りです。
○松野官房長官
私から冒頭はございません。
――弔問外交と日中関係について伺います。
長官は先ほど安倍元総理の国葬に参列したエジプトと中国の要人と相次いで会談しました。
どのようなやりとりをしたのかお聞きします。
また日中関係を巡っては明日国交正常化50年の節目を迎えます。
政府見解と今後の方針、都内で開かれる記念レセプションにどなたを派遣することになるのかを含めた、明日にかけての対応を伺います。
○松野官房長官
安倍元総理の国葬儀に際し、海外から多くの要人が訪日し弔意が示されています。
岸田総理は26日から30を超える会談を実施をしていますが、本日私もカーメル・エルワジールエジプト運輸大臣および万鋼中国人民政治協商会議全国委員会副主席の表敬を受けました。
エルワジ―ルエジプト運輪大臣との会談では、先方から、エルシーシ・エジプト大統領発、岸田総理宛ての親書が手交され、安倍元総理の逝去に対する深い弔意が示されました。
その上で、安倍元総理とエルシーシ大統領の強い信頼関係のもとで強化された、日本・エジプト関係の進展を確認するとともに、さらなる関係拡大に向け、引き続き協力をしていくことで一致いたしました。
万鋼副主席との間では、本年の日中国交正常化50周年を機に、両国首脳の共通認識である建設的かつ安定的な日中関係の構築の実現に向け、共に努力していくことが重要であるとの認識を共有しました。
明日、日中国交正常化50周年の節目を迎えます。
日中関係は様々な可能性とともに、多くの課題や懸念にも直面しています。
主張すべきは主張し、対話を重ね、責任ある行動を求めつつ、共通の諸課題については協力するという建設的かつ安定的な日中関係を双方の努力で構築していく必要がある、というのが我が国の一貫した立場であります。
明日29日、日中国交正常化50周年交流促進実行委員会が主催する記念レセプションが開催される予定と承知をしていますが、政府からの出席者については現在調整中であります。
――万鋼氏との会談の関連で伺う。
今日の会談で報道陣退出後にどのようなやりとりがあったのか。
特に、今後の日中首脳会談の開催に関するやりとりはあったか。
○松野官房長官
日中首脳会談について現時点で決まっていることはありませんが、日中間では様々な対話が行われており、今後とも対話を継続していく考えであります。
――正式な対面での日中首脳会談は、2019年12月以来途絶えているが、今後の日中会談についての政府のスタンスについて伺う。
また、約3年にわたり対面での首脳会談がなされないまま、明日の日中国交正常化50周年を迎えることについての所見を伺う。
○松野官房長官
日中首脳会談に対しましては、先ほど申し上げたとおりでございます。
日中間では様々な対話が行われており、今後とも対応継続をしていく、ということであります。
――弔問外交について伺います。
安倍元首相の国葬に伴う岸田首相の弔問外交が本日、最終日を迎えました。
3日間にわたった弔問外交について政府としてどのような成果や意義があったとお考えでょうか。
○松野官房長官
今回の国葬儀には217の国・地域、国際機関等から734名が参列され岸田総理は38、林外務大臣は23の会談を行う予定であります。
このほか、各大臣も会談を行っていると承知をしており、私も本日2件の表敬を受けました。
このように数多くの要人が世界各地から参加されるのは、日本国民への弔意や安倍元総理への敬意の表れであり。
これら要人との会談を通じて、礼節をもって応えるよう努めています。
会談相手からは安倍元総理について、世界的にも傑出したリーダーであり、その功績をしのびたい、日米同盟を含め、世界の平和に多大な貢献をした、安倍元総理を追悼するのにふさわしい国葬儀である等のコメントを多数いただいています。
安倍元総理は地球儀を俯瞰する外交を提唱されましたが、これらは、その外交に実質的な成果があったことを示す一例と考えています。
国葬儀に際し、米国、オーストラリア、インド、ASEANや太平洋島嶼国、EUを含む欧州、さらには、中東、アフリカから、中南米など、地域を問わず、全世界から訪日された多くの首脳級要人と重層的・多面的な対話を行っています。
安倍元総理の外交的遺産をしっかりと引き続き発展させるという意思をお伝えする中で、法の支配に基づく国際秩序の維持・強化、そのための自由で開かれたインド太平洋の推進、東シナ海、南シナ海を含むインド太平洋地域の安全保障情勢、北朝鮮をめぐる問題、ウクライナ情勢、国連全体の機能強化に向けた連携など非常に幅広い議題について有益なやりとりを行うことができていると考えています。
――エジプトのエルワジール大臣との会談の冒頭でエルワジール大臣から、大統領がカイロ市内の幹線道路を「安倍晋三道路」と名付けたと発言があった。
その受け止めを。
○松野官房長官
安倍元総理の生前、エルシーシエジプト大統領の発意により、本年2月に開通したカイロ国際空港近くの幹線道路が「シンゾウアベ道路」と名付けられたと承知をしています。
これは安倍元総理の日・エジプト関係強化への貢献が、エジプトにおいて高く評価されていることの証拠であると考えています。
――国葬警備について伺います。
安倍元首相の国葬や関連する弔問外交などの警備に従事した警察官の最終的な人数を教えてください。
警備人数は戦後の国葬、合同葬12例の中で過去最大なのかや、または何番目の規模になるのかも伺います。
あわせて、参列者数について、本紙の集計では過去8番目の多さでしたが、政府としては今回が過去何番目の規模になったと把握しているのか教えてください。
○松野官房長官
今回の国葬儀では警察において、最大約2万人の態勢で警備に当たったところであり、平成以降に行われた総理大臣経験者の葬儀に関わる警備体制としては記録が残る限り最大であると承知をしています。
参列者数については、新型コロナの中、単純に過去の葬儀と比較して申し上げるべきではないと考えていますが、記録集に掲載された人数を単純に比較する限りは、今回は過去9番目だと承知をしています。
――重ねて伺います。
今回、合同葬ではなく国葬の形式を取り、警備体制を過去最大規模とした一方、参列者は当初想定した最大6000人の7割程度に留まったことへの政府の受け止めをお願いします。
○松野官房長官
今回の国葬儀の警備体制については、警察において参列者数や海外要人数といったものに限らず、警備を取り巻く情勢を様々に踏まえ、弔意を寄せられる国内外の要人をはじめ、皆さまが安心してご参列いただけるために、必要な体制を確保したものと承知をしています。
参列者数については、当初から会場の規模等を踏まえて、最大で約6000人程度と説明をしてきたところであります。
いずれにしても、国内外から多くの方が参列されたことについて、心から感謝を申し上げます。
――事後に行うとされていた検証ですが、来週召集される臨時国会の会期には間に合うのか。
内容についてはどういうものをイメージしているのか。
○松野官房長官
検証についてはスケジュールを含め、具体的な進め方について今後検討をすることになります。
――関連で。
国葬の実施基準について伺う。
自民党の世耕参院幹事長は昨日の記者会見で、日本には国葬のルールがないとした上で、今後国葬の基準づくりやルール作りを、政府、国会、与野党で議論していけばいいのではないかと発言しました。
与野党から同様に国葬の実施基準の必要性を求める声が出ていますが、政府として国葬の実施基準は必要だと考えるか。
また今後、検討していく考えがあるのか、政府の見解を伺う。
○松野官房長官
午前中の会見で磯崎副長官が述べている通り、内閣総理大臣経験者の葬儀の在り方についてはこれまでもその時々の内閣において様々な事情を総合的に勘案し、その都度ふさわしい形を判断してきたところであり、これがあるべき姿だと考えています。
いずれにせよ検証の具体的な進め方については、今後検討することになります。
――証券取引等監視委員会が相場操縦事件を起こしたSMBC日興証券に行政処分を出すよう金融庁に勧告したと発表しましたが、政府の受け止めを。
また、今回は三井住友銀行と日興証券の間で、顧客情報を不適切に扱ったことも勧告内容に含まれている。
これまで、いわゆる銀証連携を進めて規制緩和してきた政府として、なにか見直す点はあると考えるか。
○松野官房長官
本日、証券取引等監視委員会がSMBC日興証券による相場操縦事案等について、金融庁に対して行政処分を行うよう勧告したことは承知をしています。
大手証券会社において、金融商品取引法に違反する不公正な取引や顧客情報の不適切な取り扱いが行われていたことは大変遺憾であります。
今回の勧告を踏まえた行政処分や今後の銀証ファイアーウォール規制の在り方については金融庁において適切に検討されるものと承知をしています。
――コロナ関連。
コロナ感染者の全数把握の簡略化で医療機関や自治体側が誤って入力した感染者数を、厚労省はそのまま公表していました。
HER-SYSの集計システムが誤入力を修正できないことが原因とみられるが、システムの改善など再発防止策をとる考えはあるか。
○松野官房長官
全数届け出見直しに伴い、9月27日から前日24時時点にHER-SYSに入力された陽性者数を公表する運用開始したところ、いくつかの県において誤入力されていたという報告があったことは承知をしています。
都道府県における総数報告において、今後、誤入力が生じないよう、改めて厚生労働省から自治体に対し、集計手順について徹底したところであります。
また、仮に誤入力が生じた場合の対応については必要なシステムの改修を検討していくと承知をしています。
――冒頭の日中国交正常化50周年の関連で伺います。
明日、岸田総理と習近平国家主席がお互いに祝電などを贈る予定はありますか。
○松野官房長官
まず、外交上等の案件でございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
――ローミングについて。
大規模な通信障害などが発生し、携帯電話が繋がらない場合に他の会社のネットワークを利用できるローミングの導入に向けて総務省の検討会で議論が始まった。
有識者会議の初会合で、携帯電話4社は導入に賛成する意向を表明しているという点と、災害や有事を踏まえれば国民にしてみれば、むしろいち早く実現してほしいという声が圧倒的に多いと予測される。
12月下旬に基本方針ということだが、こうしたニーズや有事の可能性を考えたときに、危機管理の観点から少しでも基本方針決定を前倒しにすることは考えないか。
○松野官房長官
本日、総務省において自然災害や通信事故等の非常時においても、携帯電話サービスを継続的に利用できるようにするため、事業者間ローミングの導入に向けた検討会が開催されたと承知をしています。
事業者間ローミングの導入に向けては、対象とする通信の範囲や運用ルールのあり方等について、丁寧な議論を行っていく必要があり、こうした論点の整理をしつつできる限り早期の実現に向けて取り組みを推進しているものと認識をしています。
――関連。
仮にローミング導入の基本方針が決まった場合、その後の実際のローミング導入実現にはどれくらいの期間がかかると考えるか。
○松野官房長官
事業者間ローミングの実現時期については、対象となる通信の範囲等によるものであり、今後、総務省の検討会で具体的に議論されると承知をしています。