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GDP「衝撃」に“アベノミクス批判”も

2014年11月18日 1:34
GDP「衝撃」に“アベノミクス批判”も

 安倍首相は17日、7月から9月のGDP(=国内総生産)の成長率の速報値が年率でマイナス1.6%となったことについて、「厳しい数字だ」との認識を示した。安倍首相は18日夜、記者会見し、衆議院の解散を表明する。

 外交日程を終え、17日夕方に帰国した安倍首相は都内のホテルで、“衝撃の数字”について自ら触れた。

 「きょう7・8・9月のGDP速報が発表されました。残念ながら良い数字ではありません。今、私たちは、あの長く続いたデフレから脱却できる、やっとこのチャンスをつかんだんです。私たちはこのチャンスを手放すわけにはいかない。その中で来年の消費税、引き上げるべきかどうか冷静に分析し、判断したい」-安倍首相はこのように述べ、消費税率の引き上げを先送りする考えをにじませた。

 また、与党幹部も厳しい数字について次のように述べている。

 自民党・稲田政調会長「民間の予想の最低よりもかなり低かったので、まだまだ景気回復が脆弱(ぜいじゃく)だということは、デフレからの脱却の出口は見えているものの、まだまだその点については万全とは言えないということではないかと思います」

 公明党・山口代表「大変厳しい数字だと思います。民間の予想よりもかなり厳しかったと、この結果は厳粛に受け止めてまいりたい」

 一方、野党は4月の消費増税後、2期連続のマイナス成長となったことは「“アベノミクス”の失敗によるものだ」と批判を強めた。

 民主党・枝野幹事長「アベノミクスのカンフル剤と痛み止めに頼った施策では限界があるということを、より自信をもって訴えることができると思っています。消費税はもとより、経済政策の根本をもう一度、見直す必要があると思っています」

 維新の党・小沢国会議員団幹事長「選挙なんかやっている場合じゃないですよね。選挙どころじゃなくて、ちゃんと景気対策をやって年末年始をどうやって越していくのかという局面だ」

 さらに、自民党内からも「これほど悪い数値では引き上げ先送りも仕方がない。『アベノミクスは失敗だった』という野党の批判に納得感がでてくる」(自民党閣僚経験者)や「こういう景気の状況で、選挙でカネを使うってことが理解されるとは思えない」(自民党幹部)などと安倍首相に批判的な声が聞こえた。

 消費税率の引き上げを先送りするのか。そして、その是非を衆議院の解散・総選挙で国民に問うのか。

 「(GDPの)速報値を受け消費増税先送りですか?」という記者の問いかけに対し、安倍首相は「厳しい数字ではありますが、適切に冷静に判断したいと思います」と述べた。

 17日夜にかけて公明党の山口代表や菅官房長官らと会談した安倍首相。解散・総選挙に向けて調整を進めたとみられ、18日にも消費税率引き上げの先送りと衆議院の解散を発表する考えだ。