「中国安全保障レポート2023」 防衛研が公表
防衛省のシンクタンクである防衛研究所は、中国の軍事・安全保障の動向をまとめた「中国安全保障レポート2023」を公表しました。
今回の報告書では、現代の紛争は「軍事的手段」と「非軍事的手段」を組み合わせる傾向にあるとした上で、「非軍事的手段」として「認知」の領域における中国の活動に焦点をあてています。
中国が偽情報の発信などを通じ、相手の心理、認知、決定に影響を及ぼすことで、社会のかく乱をはかる「影響力工作」を強化していると分析。
中国が台湾統一に向け、「戦わずして勝つ」作戦を目指しているとする台湾側の認識を紹介し、「影響力工作」が「台湾にとって大きな脅威となっている」と指摘しました。
また報告書では、「武力攻撃」には至らないいわゆる「グレーゾーン事態」についても言及しています。
中国は、海警や海上民兵を軍の指揮命令系統に統合することで、「他国軍との軍事衝突を避けつつグレーゾーン事態を日常的に引き起こし、相手に圧力をかけることで、自国の権益を漸進的に拡大」しようとしていると警鐘を鳴らしています。